Der Kleine Prinz (A Harvest Book) で読んでいる。フランス語原文から訳した人は、Grete und Josef Leitgeb と名前のようだ。多分、夫婦なのか?

私は英訳で読んでも面白かった。でも独訳が一番いい。なお、フランス語の原文はあまりピンとはこなかった。どうしてか?この小説は生死の問題に直結しているので、ドイツ語の持つ荒々しさが話とよく結びつくような気がする。

王子が自分の星に戻ろうとするときに、毒蛇の助けを借りようとする。そして、そのことをパイロットの主人公に説明する部分がある。

Du verstehst. Es ist zu weit. Ich kann diesen Leib da nicht mitnehmen. Er ist zu schwer. (p.88) この文章は『雨月物語』の菊花の契りを思い出す。赤穴宗右衛門が9月9日に訪問するという約束を守るために自死して、丈部左門と再会した話と重なる。

王子は蛇からのgiftをもらう事で肉体から離れて自分の故郷に戻ることができたのだ。筆者の死に対する洞察は独特のものがある。それらを機会があれば調べてみたい。

この本ではスペルミスがあるのか、あるいは ei/ie が異なる風に印刷されている。これは何か意味があってこのようなスペルにしたのか。

p.44   Das ist nicht liecht.    →leicht
p.38  ein Bewunderer kommt zu Besuch! ” rief der Eitle von weitem      → Eitel 
p.23  Der Kleine Prinz störte miene Überlegungen von neuem:   → meine  

次のこの文は明らかな誤植であろう。

p.85   über den Rüchen bei dem Gefühl ….  → Rücken

この本はドイツ語で読むのは2回目だが、何回読んでも深い洞察に満ちている。このような本に出会えたことは読者家にとっての大きな喜びであろう。

なお、雨月物語を読むのならば、新潮社の日本古典集成で読むべきであろう。