2014-11-19

Monsieur Lecoq を読んでいる。第一巻を30%ほど読んだところだ。結構面白い本だが、別の企画の仕事があり、なかなかこちらに時間が取れない。

この本は1869年に発刊されたようだ。日本で言うと、明治2年で明治維新のまっただ中である。この本を読んで興味を感じた点は、すでに犯罪者の人権を守るという考えがあったことだ。この点で日本の当時の犯罪者の取扱とは全く異なると思われる。

犯人らしき男(meurtrier)を捕らえて事情を聞こうとしたら、自分は「予審判事(jude d’instruction)の前でしか話さないから質問しないでくれ」と述べて、質問への回答を拒否する。当時の日本でそんなことを言ったら、生意気とのことでひどい目にあったのではないか。また Lecoqがこの男の靴を脱がして、泥を採集する。そして、それを二つに分けて、一つを封筒に入れてシールして保管を他人に頼む。残りの一つを鑑識に渡す。その理由として、「後ほど、その泥は自分とは関係ないと否認されないようするためだ」と述べている。捜査も慎重に行うようだ。捜査令状(mandat)が何事にも必要という点も面白い。

この犯人はどうも正体を隠しているらしい。身分の高いひとかもしれない。どんな人か、その正体は、と面白くなりそうである。