2014-11-09

Revenge (Yoko Ogawa著, Harville Secker社, 2013年)を読み終える。小川洋子の本は初めて読む。これはよく分からない本だ。バラバラの話が出てきて、それらがすべてつながるように見えてつながらない。それぞれが不気味な話で、作者の鋭い感性は窺えるが、とにかくまとまりがない。これは失敗作であると判断したい。

英訳に関しては読みやすい。日本語の原文は読んでいないのに英訳云々は気が引けるがお許しを。a full moon (p.138) であるが、定冠詞 the がついてthe full moon と訳すべきではないか。she was an older lady.(p.155)との英訳も気にかかる。自分ならば、she was an elderly woman. と訳するだろう。勉強になったのは、another world (p.144) の表現である。the another world とか an another world のような表現はないことに気づく。(補足、a full moon については2014-11-09 (2回目の投稿)のブログで訂正してある)

最後のお話で老婦人が発した言葉、Everyone I know has died. My past is full of ghosts.(p.154) 寂しい言葉だなと思う。作者はかなり年配の女性と思ったら、小川洋子はまだ52歳で、まだまだこれからの人であるようだが。