2014-07-22

第65話 Allerleirauh を読む。かなり異色な話である。昔、王がいてその王妃は大変美しかった。その王妃が亡くなったあと王は大変悲しんで他の女性と結婚を考えなかった。しかし、娘が成長して、亡き王妃とそっくりに成長してきたので、実の娘と結婚しようとする。臣下は大反対するし、娘も難題を出して実父との結婚を避けようとする。娘は逃げ出して森に隠れている。その後、料理女に変装してお城に住むことになる。しかし、舞踏会に参加して、(この後はシンデレラの話と似ているが)、とにかく王に見つけられ、王は次のように言う(no.4529)。”du bist meine liebe Braut, und wir scheiden nimmermehr voneinander.” そして結婚式を挙げて、二人は生涯楽しく過ごした。Darauf ward die Hochzeit gefeiert, und sie lebten vergnügt bis an ihren Tod. 何だこりゃ!?

第66話 Häsichenbraut だが、これはどこかの方言(ポメラニア地方らしい)で書かれていて理解不可能だった。冒頭は Et was ene Frou mit ener Toachter in änen schönen Goarten mit Koal; というような調子である。英訳を見つけて読むが、短くて特に面白い話ではない。

グリム童話集の魅力は、その多様性にあると言えるのか。こんな近親相姦の話が堂々と収集されている。この童話集の底知れぬ不気味さに驚くことがある。YouTubeで見つけたAllerleirauhの話を貼っておく。これは実父ではなくて、どこかの王子様とむすばれる話で健全な内容となっている。