2014-06-30

グリムの童話集は第53編まで進んだ。有名な Scheewittchen である。王妃が子供を願うときに、und so schwarz wie das Holz an dem Rahmen として、その結果、生まれた子供は und so schwarzhaarig wie Ebenholz であった(no.3360)。ドイツの女性はほとんどが金髪ではないか。しかし、ここでは黒髪を望んでいる。そして、黒髪の子が生まれた。デイズニーの映画『白雪姫』では、たしかに白雪姫は黒髪である。姫を救った王子は金髪である。二人が並んだポスターでは、二人の髪の色が異なっている。ドイツ人の黒髪に対するイメージが垣間見えるようだ。

グリム童話集は、おそらく、目で読むよりも、音を通して耳で楽しまれることが多かったろう。そのためには韻の使用が有効である。悪役の王妃が鏡に向かって問いかける言葉は次のようである。

“Spieglein, Spieglein an der Wand,
Wer ist die Schönste im ganzen Land?”

Wand とLand と韻が踏んである。また、王妃よりも王女が美しいと答える言葉は次のようである。

“Frau Königin, Ihr seid die Schönste hier,
Aber Schneewittchen ist tausendmal schöner als Ihr.”

ここでも、hier, ihr と韻が踏んである。この文を訳す人は韻の訳しかたで苦労すると思う。英訳版を見ると次のようになっている。
(出典 www.pitt.edu/~dash/grimm053.html )

Mirror, mirror, on the wall,
Who in this land is fairest of all?

wall と all で韻を踏んでいる。しかし、次の場面では true と youとなっている。最後が「ウー」の音なので共通だが、韻を踏んでいると言えるのか微妙な気がする。専門家の意見を知りたい。

You, my queen, are fair; it is true.
But Snow-White is a thousand times fairer than you.

参考までにkindle版の英訳では次のようになっている。はじめは韻を踏めないが、次はbe, theeとなっている。これは韻か。

“Tell me, glass, tell me true!
Of all the ladies in the land,
Who is fairest? tell me who?”

“Thou, Queen, may’st fair and beauteous be,
But Snow-White is lovelier far than thee?

グリムは面白いがこの一週間ほど読み続けた。このあたりで中休みして、他の本を読んでみたい。