2014-06-10
Peter Schlemihls wundersame Geschichte (kindle版)を読みおえる。面白かった箇所は(n. 4341)、はじめの頃にであった大金持ちの John はどうなったかと主人公が聞くところだ。悪魔が懐中からしなびて青白くなった John を取り出して見せたところだ (und daraus bei den Haaren hervorgezogen erschien Thomas Johns bleiche, entstellte Gestalt)。Johnは何やらラテン語で呟くが残念ながら私にはこの箇所は分からない。(下の画像はしなびた Johnを悪魔が取り出す場面)
そのJohnの姿を見て、主人公は恐ろしさのあまり、財布を谷底に投げ捨てて、そこでようやく悪魔との縁がきれたのである。しかし、その後は不思議なブーツを発見して世界探検をして、そして、学的な成果をあげるという話である。前半と後半の整合性があまりよくない。前半だけで止めておき、Bendel, Mina との再会も、もう少し必然性をつけたほうがいい。でも、主人公は Mina と再会しても、もう再婚しないのか!
章の終わりに次の章に行こうとするとループして前に戻るという話をしたが、Naechstes Kapital と書いてある箇所をタップすると次章へ移動できる事を発見した。この本は移動の仕方が他の本と異なっていたので、戸惑ってしまった。これは電子書籍の欠陥ではなくて、自分が動かし方を知らなかっただけだ。
さて、この本の全体的な評価だが、まあ面白いと言えよう。ただ、後半の不思議なブーツを発見してからの箇所は蛇足のような気もする。前半だけにとどめておけば実存主義の先駆的な小説になったかもしれない。もっとも、後半があるので救われた気もするのだが。
この本の後半部分の評価、意義について論じた論文がないか、ネットで探してみるが、見当たらない。『異邦人』の時はかなり論文があったが、『異邦人』と比べると、この本には人々は食指を動かさないようだ。
次はツアラトゥストラを読んでみたいと思う。哲学書としてではなくて、ファンタジー小説 として読んでみたい。