2014-05-14

Maigret voyage (p.30-31)に次のような文がある。, le jeune Maigret avait eu la sensation de penetrer dans un nouvel univers. (若いメグレは新しい世界に入った気がした)このpenetrerだが、英語のpenetrateには、「貫通して突き抜ける」という意味があるのに対して、フランス語では、単に「入り込む」だけの意味である。いわば、go through と go into の違いがある。penetrerはフランス語の文にはよく出てくるが、自分はいつも気をつけて、英語の意味に引きづられないようにしている。

bureauもフランス語では、「机やデスク」が第一義的な意味である。始めにこの語に出くわした時に、戸惑ったことを思いだす。

p.34に大佐の死因を「事故ではないか」と、Un stupide accident, n’est-ce pas? と聞いている。えーつ?形容詞の stupideは名詞の前に付くのか!しかし、ロベール仏和大辞典を調べると、後置されるようだ。例文として、air stupide, accident stupide, propos stupides などがある。

フランス語の形容詞の位置だが、『フランス語ハンドブック』(白水社, p.63)では、次のように述べている。前置されるのは、一音節の形容詞であり、bon, beau, grand, gros, joli, petitである、と。「後置されることの多い形容詞の前置は、強めのニュアンスを帯びる」例として、une aventure extraordinaire → une extraordinaire aventure (驚くべき出来事)となる、と書いてある。情報構造の理論からすると、extraordinaireを強調したい時は、後置すべきなのだがどうしてか。要は通常の位置とは異なることを示して、意外性を示すと言うことか?