2014-05-10

昨日は母がお世話になっている老人ホームから電話があり、母が肺炎になったので、病院に入院したほうがいいとのことであった。そんなことで、昨日は母の入院で大忙しであった。母は認知症もすすみ、「お父さんは今どうしたのか?」と亡父について尋ねるので、「明日見舞いにくる予定」と答えておいた。つい数年前までは、自分で買い物もできたのに、今は寝たきりの生活である。見ているとつらいし、すぐに自分の番が来るのかと思うとこれまた寂しい。

帰宅してから、Something Wicked This Way Comesを読もうとする。この本は大学時代に日本語で読んだことがあったが、今、パラパラ眺めているが、自分はほとんだ内容を覚えていないようだ。アマゾンで書評を見てみると、翻訳がよくないとのコメントが多い。

しかし、こんな本を日本語に訳すなんて至難の業ではないか。この本では Bradburyの想像力と創造力が最大限に発揮されて、断片的な描写が続く。キーワードを拾いながら、それらの醸し出す雰囲気を味わっていくのがこの本の読み方ではないか。storm, lightning rod, library, carnival. maze, locomotive, mirror, sundown, autumn, October, dark などの彼の好みの単語がずらりと並ぶ。これらの語を味わうことで、Bradburyの世界へ入り込めるのではないか。(Bradburyは秋を示すのにアメリカ英語の fall は使わないでイギリス英語の autumnを使っている)

Frost and Fire は、あんなに分かりやすかったのに、この Something Wicked は何と分かりにくいのだろう。でも、この本は分かりにくさが自分には魅力となっている。漠然とは分かる、細部は分かりにくい。そこは自分の創造力で補うのだが、「少年の目」という視点を設定すると見えてくる部分もある。

Somewhere a vast animal made water. Ammonia made the wind turn ancient as it passed. (no. 983) だが、made water は放尿したアンモニアの匂いが turn ancient となっているのだが意味がよく分からない。翻訳者などは、こんな箇所にきたらどう訳すのだろうか、きっと苦労するのだろうなと同情する。

Will Holloway と Jim Nightshadeという二人の主人公の名前も面白い。イリノイの片田舎で起こる話で冒頭からワクワクさせられる。自分もこの少年たちと一緒になって、「少年の目」でこの世界を見てみたい。すると世界は驚異にみち、恐ろしくもあれば美しくもある、ことが見えてくるのだろう。