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『大菩薩峠』を9割ほど読み終わった。今日中には読了といくのではないか。

この小説には、かなりの数の身体障害者が登場する。そして、それらの登場人物がその障害のゆえに、かえって超能力的な力を発揮するのである。

主人公の机龍之介は、失明するが、そのために勘がよくなり、ほとんど目明きと同様の行動ができる。
弁信は、盲目の僧侶であるが、これまた聴覚が異常に敏感になり、日常生活はほとんど困らない。
金椎(きんつい)は聾唖者であるが、料理が巧みである。
与八は、やや知恵遅れであるが、それゆえに純真で人々につくし、むしろ聖人として尊敬されるようになる。
米友は、足が悪いが、槍の上手な使い手である。
がんりきの百蔵は、片手を失うが、盗みの技能はむしろ巧みになっている。

とにかく、登場人物たちは個性があって、面白い。作者の身体障害者にたいして、むしろ畏敬の念を抱いている点が見えるのである。常人と比べるとある機能が効かないが、それゆえに、他の機能が補完して発達して、常人を超えてしまう機能を示すという彼の哲学が見えて面白い。