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昨晩、ひかりTVで『トータル・リコール』を見た。『トータル・リコール』には、1990年にアーノルド・シュワシュネーガーが主演した映画がある。それが有名で、とても面白かったことを記憶している。昨晩見たものは、2012年にリメイクした版である。
2012年版に関しては、自分の評価はあまり高くない。何がなんだか分からない、というのが自分の感想だ。まず、話が複雑すぎて付いていけない。どちらが悪人で、どちらが善人なのか、なかなか分からない。自分の妻を信じていいのか、新しい恋人を信じていいのか、どちらにするのか見当がつかない。
視聴者としても、どちらを応援していいのか分からない、ので困る。まあ、この最後までどちら側が正義かが分からないという点が、この映画の売りなのだろうが、自分は混乱してしまった。脳髄に受け付けれた記憶、さらにそれを上書きされた記憶。夢と現実との区別も分かりづらい。一体全体、どうなっているのか。
1990年版で覚えているシーンは、火星の植民地でたくさんの乳房を持った女がでてきたシーン(あれは衝撃的だった)、反乱軍のボスがミュータントみたいな子供だったこと、酸素が生まれる直前にアーノルド・シュワシュネーガーの目が飛び出しそうになった画像である。
あの火星の植民地での街並みの様子は何となく懐かしい気持ちにもなった。猥雑で、でも庶民的で自分には好きな雰囲気だ。
新しい版は、映像的には格段の進歩があった。支配者の住むイギリス(ブリテン連邦)と労働者の住む(コロニー)の間をつなぐFall (フォール)という交通機関に乗って、わずか10分ほどで往復できてしまう。労働者はこの交通機関を利用して、イギリスに毎日出稼ぎに行くのだ。これはたしかに面白いアイデアだ。
それからカーチェイスも格好いい。空中を追跡をする車のシーンを見ると近未来かな、という印象を受ける。ただ、映像は綺麗になり、迫力は出てきたが、オリジナルの持つ型破りの面白さは薄れたように思う。
どちらが面白いかは視聴者自身で決めていただければと思う。
なお、この話はフィリップ・K・デイックの小説に基づいていることをネットで調べて初めて知った。この本も読んでみたい気がする。”We Can Remember It for You Wholesale”という短編小説のようだ。