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年の瀬からThe Chill (Ross Macdonald (Vintage Crime, 初版1963)を読み終えた。この本は5年前の2012-11-20 に読んでいる。それは、「異文化の森へ」というブログの中で、感想を述べている。内容はかなり忘れていて始めて読む本のように楽しめて読むことができた。ここでは感想を箇条書きで述べてみたい。ネタバレはしないように書いていく。
(1)探偵 Archer はやはり金の心配をしている。私立探偵なので、警察のように資金は無尽蔵でない。client を探して金を得る努力をしている点は面白い。
(2)話は主人公が次々と人と接触して information を得て、それから全体像を構成していくという方式だ。あまりaction はない。information を次から次と積み重ねていく方法は、読者の知的関心に訴えることが多くて面白い。
(3)会話中心で話が進む。そのために、読みやすいし、洒落た会話や、ユーモアたっぷりのやりとり、皮肉のやりとりもあって、英語の勉強になる。地の文が多いと小説はやはり読みにくくなる。会話をたくさん取り入れて、テンポよく話を進行させるテクニックは感嘆してしまう。
(4)ベルレーヌやイエイツの詩などを引用して、ちょっと格好良く話がまとまっている。神秘感もよく出ている。
(5)nursing home という語は「老人ホーム」という意味だけかと思っていたら、「個人病院」、「精神病院」の意味もあることを知った。1963年に書かれた小説であり、その当時の主たる用法か。現在ならば、この箇所は、clinic という語を用いるのではないか。
(6)この小説のタイトルの chill だが、p.189 に現れる。”Who is the killer, Earl?” His face worked. ” Never found out who put the chill on Deloney….” という表現だ。あんまり、タイトルとは関係ないようだが、この本では、この部分しか、chill という表現は出てこない。