2015-01-23

グリム童話集を読み続ける。

第188話はSpindel, Weberschiffchen und Nadelである。冒頭は以下のようである。Es war einmal ein Mädchen, dem starb Vater und Mutter, als es noch ein kleines Kind war. (no. 10180) これは物語の出だしとしてよく現れる形式である。「むかし、むかし、あるところに」というパターンであるが、これは現在にも続く、普遍的な時間という意味であろう。つまり、永遠に続く今にもつながっている、常に起こっている、そんな時間だと考えられよう。

さて、孤児となった女の子にPateがいた。(Pate とあるので代父と思ったが内容からは代母である。辞書を調べるとPate には代母の意味もある。Patin ならば代母というはっきりとした意味になる。なお、代母は Mate と言う語が該当するかと思うが、そのような語はない)Pateは糸を紡ぎ、織り、縫って生計を立てている。女の子を引き取って当然その技術を教えたのであろう。そして、15歳の時に代母はなくなる。女の子は紡ぎ、織り、縫って生きていく。その近くを王子が通り、家の窓から女の子の姿を見る。そして、王子はいつしかその子に引かれていく。女の子が持っているSpindel, Schiffchen(織機のシャトル), Nadelがそれぞれ歌う。

Spindel, Spindel, geh du aus,
bring den Freier in mein Haus. (no.10199)

Schiffchen, Schiffchen, webe fein,
führ den Freier mir herein. (no.10206)

Nadel, Nadel, spitz und fein,
Mach das Haus dem Freier rein. (no.10216)

この歌が好きである。グリムは耳で聞くための物語であるので、ところどころに歌が入り、そして繰り返しが必要である。脚韻が踏んである。王子様は最も貧しくて最も豊かな女性を妻にしようと考えていたので、この女性が王子の希望に適い、二人は結婚すのである。…,stand das Mädchen da in seinem ärmlichen Kleid, aber es glühte darin wie eine Rose im Busch. »Du bist die ärmste und auch die reichste, (no.10219)

第189話はDer Bauer und der Teufelである。短いお話である。188話と189話の原典は ルートヴィヒ・アウルバッハー 『若者のための小冊子』(1834年)とある。この作家、この本をネットで調べるも見つからない。今後の課題にしておく。

悪魔を出し抜いた賢い農夫の話である。農夫が、畑に植えた作物で地下にあるものは農夫のもの、地上にあるものは悪魔のものと約束をする。すると農夫はカブを植えて、地下にあるカブは全部自分がいただいた。翌年は逆に地上のものは農夫で、地下のものは悪魔のもとと約束すると、農夫は今度は麦を植えて、地上にある麦を収穫して悪魔には切り株しか残さなかったという話である。とんち話である。

第190話はDie Brosamen auf dem Tischである。これは方言で書いてある。英訳を見つけて読んでみる。何が面白いのか分からない。