2015-01-22
グリム童話集を読み続ける。
第183話はDer Riese und der Schneiderである。ほらを吹く男が世界を旅行している時に、巨人と出会う。その巨人は実は何でも信じやすい巨人であった。それで、ほらを吹く男の話を信じて、凄い男だと恐れる。ある時に、男が柳の木の上にのぼって木を曲げていたら、その反動で空高く舞い上がり戻ってこなかった。それで巨人は安心して大喜びをしたという話である。
第184話はDer Nagelである。馬の足に蹄鉄を打ち付けるが、釘が一本欠けていた。何人かの人が指摘したが、無視したところ、蹄鉄が外れで馬が足を折り、そのためにけちをした男は重たい荷物を担いで家に戻ることになったという話。最後に急がば回れ(Eile mit Weile, no. 9974)という格言がついている。
第185話はDer arme Junge im Grabである。孤児がいたので、市の権威筋(Obrigkeit)がその子どもをある金持ちに預ける。しかし、そこで虐待を受ける。そこで死にたいと思い、ベットの下に毒があると主人の妻が言っていたのを思いだし、それを飲んで死のうと思う。しかし、実はそれは蜂蜜で、妻はそれを人に取られたくないので、毒であると言っていたのである。孤児は毒だと思いこんだが蜂蜜を食べて美味しいと感じる。(このあたり、一休さんの昔ばなしを思い出す)また、衣装箱に虫退治の毒薬があると主人が言っていたことを思いだした。それを飲んで死のうとしたが、実はそれはワインであった。とても美味しかった。孤児は教会のお墓の中にはいり、ワインで酩酊していたことと夜の夜露のために遂に死んでしまう。(何となく、救いのない話だが、いじめた夫婦も火事にあって、貧しい生活をするという点で罰をうけることになる)
第186話はDie wahre Braut である。これは貧しい女性がいて、継母からいろいろといじめられる。無理難題をふっかけられる。しかし、毎回老女から助けてもらう。最後にお城を建てろと継母から言われて、再び老女の助けでお城を建てる。継母が見に来たところ、間違ってある扉をあけて墜死してしまう。そこでその女性はお城に住んでいたら、王子が求婚にきて、二人は愛し合う。そして、王子が故郷に戻って父親に結婚の了解を得るので、待ってほしいと言って去る。ところが、王子が戻ってこないので、その女性が王子の国に行く。そこでは王子がある女性と結婚式を挙げることになる。その女性は着飾って行くと、その美しさに打たれて、王子は Er führte sie zum Tanz und war so entzückt über ihre Schönheit, daß er an die andere Braut gar nicht mehr dachte.(no. 10116) となって、これから結婚する相手のことはもう考えなくなった(その結婚相手の気持ちはどうなっているのか、物語には全く書いてない、全く無視なのか)。その女性が3日目にパーティに行くと王子はようやくその女性のことを思い出して、二人は結婚してめでたしめでたしである。
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継母にいじめられるというパターンはよく出てくる。そして、老女に助けてもらう。そして、王子と愛し合うようになるが、王子は故郷に戻ってから自分を忘れてしまう。そして、王子の元に行き、王子の新妻から王子を取り戻すというよくあるパターンである。貧しい女性がやがては王女になるという、その当時の貧しく虐げられた女性たちの願望によくマッチした話で、そんなことから貧しい女性に人気があったのであろう。
第187話はDer Hase und der Igel である。また方言で書いてある。英訳を見つけてそれを読んでみる。ウサギとハリネズミが競争をする。勝利者はお金とブランディーを賭ける。しかし、ハリネズミはゴールの近くに、自分の妻をおいて、ウサギがきたら自分が勝者だと叫ばせた。何回やっても、勝てないので、遂にウサギは血を吐いて死んでしまう。(なんだか、ウサギとカメの話に似ているが、でも、違う話だな)