2015-01-13
グリムを読んでいたのだが、何だかアンデルセン童話集のことも知りたくなって、ネットでいろいろと調べた。アンデルセンは貧しい靴屋の倅として生まれたのだが、一生懸命努力して、デンマークを代表する文学者として大成したのである。アンデルセン童話集の翻訳としては、やはり独訳が一番いいと思うのだが、どの独訳が定評があるか調べてみるが分からない。ただ、デンマーク語とドイツ語は似ているので、何とかドイツ語の力で読めるかと思って、デンマーク語の原文を若干記すが、やはりドイツ語の力では読むことはできない。
火打ち箱
Der kom en soldat marcherende hen ad landevejen: én, to! én, to!
Han havde sit tornyster på ryggen og en sabel ved siden, for han havde været i krigen, og nu skulle han hjem.
人魚姫
Langt ude i havet er vandet så blåt, som bladene på den dejligste kornblomst og så klart, som det reneste glas, men det er meget dybt, dybere end noget ankertov når, mange kirketårne måtte stilles oven på hinanden, for at række fra bunden op over vandet.
これは「趣味のデンマーク語」というサイトを見つけたので、そこからの引用である。(http://www.eigo21.com/etc/dansk/index.htm) このサイトには、童話集のお話も数も示してある。
まず、全部で212話があるようだ。
1 アンデルセンの生前に出版された『アンデルセン童話集(物語) 』(Eventyr og Historier) 156話
2 後年に付け加えられた『アンデルセン童話集(物語) 』 18話
3 『絵のない絵本』(Billedbog uden Billeder) 33話
4 『絵のない絵本』の元原稿の『第一話』 1話
5 上記のアンデルセン・センターが童話に分類した作品 4話
合計 212話
Andersens Märchen (Sämtliche Werke)(kindle版) でReisekamerad という話を読んでみる。Johannes の父が病気で死にかけている。主人公はとても悲しむ。(このあたり、作者の実体験と重なって共感する)。教会で死体を冒涜してお金を取ろうとしている泥棒が二人いたので、お金を渡して死体の冒涜をやめさせる。
次の文章は主人公が自然を自分の寝床に例えた部分で美しいと自分では気に入っている部分である。
Das ganze Feld mit dem Bach, dem Heuschober und dem blauen Himmel darüber, das war doch eine schöne Schlafkammer. (no.5158)
Der Mond war eine große Nachtlampe hoch oben unter der blauen Decke, (no.5158)
主人公は途中で旅の仲間(Reisekamerad)と知り合う。そして、ある王国で美しい王女が出すなぞなぞを解くことになる。その時に、Reisekamerad が超自然的な力を発揮して主人公を助ける。そして、最後に自分は以前、主人公が冒涜されるのを助けてくれた死体であると明かして去っていく。
一つだけの話を読んだ感想だが、グリム童話集と比べて非常に読みやすい、古風な表現はないし、ドイツ語も現代風の語彙が使ってあるので読みやすい。(翻訳だから、それは当然だが)。またあらすじがきちんとしている。作者がいて、ちゃんとストーリーを作り上げてくれているので、安心して読んでいける。伏線はすべて回収されている。グリム童話集では、荒削りで、伏線の回収などお構いなしにストーリーが進んでいくので、ついて行けないことも多い。また、グリムのような言葉遊びは多くはない。いずれにしても、両方ともそれぞれの魅力があり、読者には二つの楽しみ方ができるということであろう。
[…] 自分がデンマーク語で読めるわけがないので、kindleでできるだけ無料の訳本を探してみる。独訳がいいだろうと思い、「アンデルセン童話集」「独訳」とキーワードを入れて検索すると、なんと自分の書いた文章が最初にヒットした。今年の1月13日のブログである。いろいろ見たが、どの訳者の独訳が素晴らしいかということを論じたものは日本語のネットでは見つからないようだ。 […]