2015-03-05

アンデルセンの童話集は選集ではなくて全部を読んでみたい。どの版で読めばいいのか考えてみる。デンマーク語の原文に関しては、「北欧文学の訳者10選・8」といいうサイトを見ると、「個人的な印象ですが、アンデルセンのデンマーク語原文は、必ずしも名文というわけではないのですが、大畑訳は、大人にも子供にも読みやすく、かつきれいな文章であると同時に、原文に忠実です。」とあって、大畠末吉という訳者が優れていると述べてある。

自分がデンマーク語で読めるわけがないので、kindleでできるだけ無料の訳本を探してみる。独訳がいいだろうと思い、「アンデルセン童話集」「独訳」とキーワードを入れて検索すると、なんと自分の書いた文章が最初にヒットした。今年の1月13日のブログである。いろいろ見たが、どの訳者の独訳が素晴らしいかということを論じたものは日本語のネットでは見つからない。

自分の持っているkindle版だと、仏訳だとContes merveilleux 1875年版である。訳者の名前はない。第1巻は32話である。第2巻は24話である。独訳はAndersens Märchen (Sämtliche Werke) で第1巻は32話である。第2巻は第30話がある。これには2011年と出版年が記してあるが、電子書籍化された年であろう。この訳はProjekt Gutenberg に掲載されている文と同じである。独訳に関しては、Gutenberg に掲載された訳文をkindle が電子書籍化したようだ。それゆえに、無料で購入できるのであろう。

とにかく、Andersens Märchen (Sämtliche Werke)を読み始める。第1話は Alles am rechten platz である。これはつまらない話である。出だしは、Es ist über hundert Jahre her. Da lag hinter dem Walde an dem großen See ein alter Herrenhof, der war rings von tiefen Gräben umgeben, in denen Kolbenrohr, Schilf und Röhricht wuchsen. 「百年以上も昔のことです。森の向こうの海辺に古いお城があって、その周りに深いお堀がありました。そこには葦、よし、葦の茂みがありました。」とある。なお、Kolbenrohr, Schilf, Röhricht は全て同じ意味で「葦」のようだが、同じ葦でも微妙に種類が異なるのか。こんな時は訳はどうするのか。

ところで、この物語はつまらない。童話集の出だしという一番大切な箇所にこんなつまらない話が置いてあると読者は読む気をなくす。次は、Das Bronzeshwein という話だが、これはどうか面白い話でありますように。