2015-05-15
ことしの1月30日に万足卓先生のグリム童話集への思いを語った文を紹介した。それに関して、ある方から、コメントをいただいた。以下紹介したい。
(引用始まり)
万足卓(たかし)先生には昔、金沢でドイツ詩の手ほどきを受けました。不肖の輩とて、せっかくの薫陶も生かせず、ドイツ語からも遠ざかってしまいました。先生は、一度もドイツに行ったことはないと仰っておられましたが、ドイツ人以上に素晴らしいドイツ語を話す人として、もっぱらの評判でした。グリムの童話の音読だけで話せるようになるというのが口癖でした。(やって見ればよかった。。)心臓を患っていて、大学(城内)への坂道が苦しそうでしたが、周りの木樹から枯葉が”neinend”と落ちるさまを、”いや、いやと”落ちる、という風にその姿を訳すのだと話してくれたのが印象的でした。一言で言って、詩人だったと思います。
(引用終わり)
このように自分自身の記事に関してコメントをもらうことは非常に嬉しいことである。自分自身も金沢大学で勉強したことがあるので、大学の話も懐かしい。色々と教えてもらったのでそのことを下に記す。
- 万足卓先生の読み方は、「まんそくたく」と読むのではなくて、「まんそくたかし」と読むこと。1月30日の投稿では、グリム童話集(大学書林)に記してあった読み方をそのまま記したが、正式には「たかし」とお読みするようである。
- 万足先生は心臓を患っていて城内への坂道が苦しかったこと。むかし、金沢大学は市内の中心、金沢城の中にあって、地理的には最高のところにあった。大学へは坂道を登っていく。大学の構内は緑も豊富で金沢市民にとっても憩いの地であった。しかし、今は山に近い角間という郊外に移転した。たしかに広くなり、理系の建物などは実験設備が容易に入れることができるようになった。しかし交通のアクセスは不便になった。特に雪の降る冬は通学は非常に厳しい。
- 万足先生はドイツに一度も行かれなかったこと。それなのに素晴らしいドイツ語を話すということ。昔は今ほど容易に海外に行ける時代ではなかった。大家と言われている人でも、ドイツに行く機会は滅多になかったようだ。
- グリム童話集の音読だけでドイツ語を話せるようになると口癖にされていたこと。私もこのところ、グリム童話集をiPodに入れて、通勤の途中に聴いている。できたら、幾つかのお話を暗記してみたいと思っている。ヘンゼルとグレーテルなどは何回か聴いて、その感想を、姉妹サイトの「異文化の音を聞く」で語っている。現代のドイツ語の授業では、文学作品を取り上げることは少なくなったのではと思う。実用、実用のかけ声のもとに、実用ドイツ語へとシフトしていることと思う。
コメントをいただいた方には改めて感謝の気持ちを伝えたい。このところ、このブログの更新が少なくなっていた。5月いっぱいで、まとめなければいけない仕事があって、更新を怠っている。6月以降は頻繁に更新ができることと思う。