2014-12-22

Lacheneur は、ただ反乱の成功の見込みはなくて、単なる私怨のためにおかしなことをしたのか。飲み屋での村人たちから冷たい目で見られている。村人たちは、Lacheneur はマリールイザとかローマ王(つまり、ナポレオンの妻や子ども)が加勢をして、帝政復活がありうると説いたのだが、全くの「嘘」だったのだ。なぜ、そんなことをしたのか、そのために、村人から憎しみをかってしまった。

Il reconnut qu’il avait dit que Marie-Louise, le roi de Rome et tous les maréchaux de l’Empire devaient se trouver à Montaignac, et c’était là un monstrueux mensonge. Il confessa qu’il avait donné le signal du soulèvement sans chance de succès, sans moyens d’action, en s’en remettant presque au hasard. Enfin, il avoua qu’il n’y avait de réel que sa haine, la haine implacable qu’il avait vouée aux Sairmeuse…

とにかく、当時は、ナポレオン神話があった、それは苦しい時代には彼の再来がのぞまれていたことを示すのであろう。
さて、彼は、夜霧の中へ逃げていく。次の文章は好きな文章だ。

La nuit était noire, et un brouillard glacé épaississait encore les ténèbres. (no. 4350)

二日ほど前のブログ(2014-12-20)にembrasser の意味は「抱擁」か「接吻」のどちらの意味か迷うとした。次の文章を読むと、Antoine という牧夫が妻に対して抱擁したと考えられる。

Il sourit, embrassa tendrement sa femme, puis lui montrant la porte restée ouverte: (no. 4389)

しかし、次の文章では、「接吻」したと考えられる。つまり、「おでこ」に対してであるから。
et l’embarrassant sur le front (no. 4423)

embrasser は本来は抱きしめるから、現代フランス語ではもっぱら接吻するという意味になっている。この本では、両者の語義の混在が見られるので、ちょうど、この時期からこの語が現代風の意味に変わりつつある端境期であると考えていいだろう。

参考までに調べると、baiser は儀式的な接吻とあって、文章語であると『ロベール仏和大辞典』は述べている。『クラウン仏和辞典』では、婦人の手や十字架像に口づけすることとして、baiser la main d’une dame, baiser un crucifix のような例をあげてある。