2014-12-07
Lecoq を相変わらず読んでいる。面白い。ぐんぐん引き込まれて読んでいる感じ。長い小説だが全然飽きない。第2部はその当時の政治が描かれている。たとえば、これはナポレオンのことだろうが、Le Consulat avait succédé au Directoire, l’Empire remplaça le Consulat.(no.215) 総裁→執政→皇帝とナポレオンの地位が上るにつれて、フランス国内が変更している。
M. Lacheneur という人物はとても魅力的に書かれている。En dépit du luxe princier qui l’entourait, sa vie resta simple et frugale. (no.227) お金持ちになっても、質素で倹約につとめている姿が想像できて好ましい。しかし、彼の昔を知っている人たちは面白くない。Ses anciens camarades ne pouvaient lui pardonner sa prestigieuse élévation.(no.235)
そして、昔の領主が戻ってくることになり、Lacheneur は昔を回想する。Entre le jour où il avait acheté Sairmeuse, et ce fatal dimanche d’août 1815, vingt ans s’étaient écoulés… Vingt ans!… Et il lui semblait que c’était hier que, rouge et tremblant, il alignait les piles de louis sur le bureau du receveur du district. (no.239) そして、一切は夢のようであったと感じる。このあたりの文章は好きなので、ここに記しておく。Il n’avait pas rêvé… une vie entière tient dans l’espace de dix secondes, avec ses luttes et ses misères, ses joies inattendues et ses espoirs envolés….(no. 243) 同感!自分も今までの人生、あっという間であったように感じる。
彼は徒手徒拳で生きてきたとも懐古する。je n’avais que mes bras pour vivre (no. 283) そして、娘にすべてを告白して、大きな屋敷を入手した経緯を説明する。このあたりの娘と父の会話は圧巻だ。ここまで読むと、Sairmeuse一家が悪玉であり、d’Escorval と Lacheneur, 娘の Marie-Anne のグループが善玉であることが見えてくる。この二つのグループの間の復讐劇であるが、おそらく後者が最終的に勝利するという形が結末であろう。