2014-09-27

Monsieur Lecoq を読んでいる。Lecoqはla sûreté (nationale) に所属するようだが、これについてwikipediaで調べてみた。

la sûreté (nationale) は、1966年にフランス国家警察(Police nationale de France)に改組され、警察庁と訳される。現代での機能は、人口1万人以上の都市圏における治安維持を担い、フランス内務省の管轄下にある。ただし、パリ市の警察機能は別にあり、Préfecture de Police de Paris が担当する。これはパリ警視庁と訳される。パリ警視庁はフランス国家警察の内部に置かれるが、フランス内務大臣直轄のパリ警視総監が指揮を執るとのこと。メグレシリーズにQuai des Orfèvres がよく出てくるが、「オルフェーヴル河岸」という意味で、これはパリ警視庁の所在地を示している。メグレはパリ警視庁に属し、ルコックは警察庁に属しているようだ。(でもLecoq の担当するこの事件はパリの郊外で起こった事件ではないのか。この点が納得できないが)

警察組織として、それ以外に国家憲兵隊(Gendarmerie nationale)があり、その任務は犯罪捜査、暴動鎮圧、海上の治安維持、テロ対策、政府庁舎等の警備、外国要人に対する儀仗業務などであるという。そして、1941年以降、国家警察と憲兵隊の活動領域は、1万人以上の住民が居る町は警察、そのほかの場所は憲兵隊と分けられてきたそうだ。ふーん、なるほど。

行政警察と司法警察の違いもよく分からないが、行政警察(police administrative)は、制服警察官による予防巡回や交通業務などをおこない、逮捕権は制限される。一方の司法警察(police judiciaire)は法執行と犯罪捜査をおこない、完全な逮捕権が認められる、とのこと。日本にはこの区別がないので分かりづらい。

Lecoq が捕まえた殺人犯は口を割らずに、予審判事(juge d’instruction)の前でだけ話すと主張している。予審判事の権限とは何か、メグレや異邦人を読んでいて自分が分からなかった点である。Wikipediaによれば、予審では、強制捜査権を持つ予審判事が自ら積極的に証拠を収集する、とある。

Wikipedia を使うことで、ある程度フランスの警察制度について理解できた。フランスの探偵小説をよむときは、これらの知識は不可欠であるようだ。