2014-09-09

Murder on the Orient Express (Agatha Christie, HarperCollins版, 2007年) を読む。面白い。クリスティの傑作だけあって、ぐいぐいと引き込まれていく。目が痛くなったが、やめられなくて、夕方の7時ぐらいまで読み続け、読み終えた。

この話だが、すぐにリンドバーク誘拐事件を思い出したが、この事件は1932年に発生しており、小説は1934年に刊行されているので、事件の影響のもとにクリスティが執筆しただろうことは予想できる。

Poirot は、関係する人々に、英仏独語で尋問している。彼はベルギー人なので、主としてフランス語で尋問しているが、フランス語がわからない人には英語かドイツ語でも質問をしている。登場するのは、アメリカ人、イギリス人、スエーデン人、ハンガリー人、イタリア人、ドイツ人などの様々な国籍の人である。この頃はフランス語がかなり勢いがあった頃である。英語で書かれた文の中に、時々、フランス語の文章がそのまま(英訳なしで)挿入されており、この程度の本を読む人にはフランス語の知識が当然視されていたことがうかがえる。

Poirotであるが、彼は私立探偵である。何の資格で乗客に尋問しているのか不思議に思う。チャンドラーの小説でも私立探偵であるフィリップ・マーロウが登場する。これらの私立探偵がどのようにオーソライズされているだろうか。日本には存在しないシステムなので興味深い。

語彙的なことだが、scarlet kimono が謎を解く一つの重要な要素となっている。日本語の「着物」がすでに英語に取り入れられていることを示している。次に、He fell into a reverie, beating a light tattoo on the table. (p.177) この文章の解釈だが、tattooを「入れ墨」とだけ理解していたので意味が不明になった。辞書を引くと「どんどん叩く音」とある。なるほど、これはテーブルを軽く叩いたという意味のようだ。