2014-08-14

昨日 Tsukuru Tazaki を読み、そのあと書評をいろいろと見てみた。日本のアマゾンでの書評はかなり厳しかった。8月14日の朝6時の時点で694の書評があり、平均点は3.3点である。星1つ(=1点)とした書評も134あった。

アメリカのアマゾンでの書評も調べてみる。22人からの書評があり、平均は4.3点である。1点とした評価はなくて、2点(星2つ)とした人の理由も、It’s not that it’s not written well, it’s that I feel like I’m reading something fake. とある。あとは高い評価の人が多い。アメリカ人の書評は長くて理屈っぽい。日本人の書評は、好きだ嫌いだ、と、それだけで短い。アメリカの書評は長いので、延々と大演説を聞かされる気がする。

イギリスのアマゾンの書評は4つあり、平均は4.2である。一番評価の低い人で星3であり、その理由として、Unfortunately one of his older habits also resurfaces. He doesn’t finish the story. Not in a ‘some things should be left unsaid’ manner either, he simply does not resolve any of the plot lines the reader has been traversing. 確かに、村上の結末は示さない方法は、余韻が残ると言うよりも、読者をイライラさせるだけと思う。結末はSaraと別れるでも一緒になるでも、読者は納得すると自分も思うのだが。この点を指摘した書評が多かった。

フランスのアマゾンを見ていると、仏訳版が9月4日に出版されるようだ。英訳版は8月12日にでているが、まだ書評はない。

ドイツのアマゾンでは、独訳版は今年の1月10日に刊行されている(私も既に入手済み、まだ読んでいないが)。訳本の出版が早かったので、書評は125もあり平均は4.0である。この書評の多さは特筆すべきことである。ノルウエーの森の独訳版でも書評は113しかなくて(評価は4.3点)、海辺のカフカも書評数は109である。この数字から判断すると、多くのドイツ人がこの本に関心を持っていると言えるだろう。評価が5点の人の書評に、Es hatte eine Sog, der mich komplett erfasst hat. Ich konnte nicht aufhören zu lesen. とあった。これは読んだとき、私もそうであったので共感した。

中国のアマゾンを見てみる。中国語は分からないが漢字と数字を眺めていると書評の数と評価は分かる。書評数は736で評価は4.6である。評価が1点、2点の人はいない。この本が、かなり中国人に受けていることが分かる。

日本人の評価が一番辛いのは面白い。外国語にすると村上春樹の嫌らしさが取れて透明となりすっきりするのか。なお、西洋人の書評では、巡礼(オデッセイ的旅)や、影の自分、無意識と意識、夢と現実の違い、などの点に焦点をあわせ、そこを評価した書評が多かった。つまり理屈ぽくて全体構成に目がいく。一方の日本人の書評は性的描写が多いとかというような細部に目が行き、それで酷評となっている面が多いように感じた。