2014-06-19

『黄色い部屋の謎』を読み続けている。いろいろと謎が出てくる。令嬢が叫んだ言葉、Bête du Bon Dieu (no.1121) はどういう意味かと登場人物たちは詮索をしているが、こんなことは令嬢に聞けばいいではないか。

ところで令嬢は35歳との事、1908年当時の35歳とは現代では、40歳後半に該当するだろう。その令嬢が結婚を予定していたという点が、この話の謎の一つである。そんな彼女を形容する言葉として、imperiale beauté, restée intacte, sans une ride, victorieuse du temps et de l’amour. (no.1184)と大変な褒めようである。この令嬢にも何か謎が隠されているようだ。

さて、番人が登場する。彼は l’homme vert (no. 1131)と呼ばれている。これがどのような意味か分からない。辞書にも載っていない。同じページに、 Maintenant va falloir manger du saignant.と若き新聞記者が言うが、これまた彼はその意味を語らない。どうも謎である。この記者は自分の分かった事を小出しに出してくる。読者の関心をつなぎ止めておく一つの方法か。

英語の意味と異なる語がある。mobile がそうである。フランス語では「動機」という意味で le mobile du crime (no.1271) 犯罪の動機 のように使われる。

現在のところ、多大な興味を持って読み進めている。謎をいくつも散りばめて読者へのサービスを忘れない作者に敬意を表したい。