2014-07-14

グリム童話種の第57話の冒頭で夫婦の名前がでてくる。タイトルが Der Frieder und das Katherlieschen である。夫の名前は Frieder であり、この固有名詞に Der がついている。妻の名前は Katherlieschen である。最後に縮小を示す後綴り -chen が付加されて中性名詞となり、das が付いている。この話の最初のページでは、> Geh nur, Friederchen, < antwortete die Katherines, (no.3841) のような文もある。夫婦の会話なので、互いに-chenを付け合うのだろう。なお、『独和大辞典』では、17世紀以降は同様の機能を持つ -lein を駆逐して、もっぱら -chenが使われるようになったとある。ふーん、なるほど。

ところで、名前に定冠詞がつく場合と付かない場合がある。会話で互いに呼びかける時は定冠詞は付けないだろう。地の文では、定冠詞が付いたり、付かなかったりする。これは何故か。『独和大辞典』を引くと、定冠詞の項目に「南部の方言ではしばしば単なる人名にもそえられる: Der Karl is verheiratet. カールは結婚している。」とある。なるほど、グリムのこの話は南部方言の要素を残しているのか。第57話を収集したのは南部地方であると考えていいのだろう。