2014-03-29

Muckの物語を読み終えた。童話だが大人が読んでも読み応えがある。さて、外国語一般についての、現時点での自分の課題を書き記していこう。

(1)ドイツ語では固有名詞にも定冠詞をつける。英語では考えられないことだが、ドイツ語では語順が決まっていないので、その語の格を示すための記号が絶対に必要であるのは当然だ。もちろん、固有名詞なので、不定冠詞がついて格を示すことはないだろう。でも、フランス語の本を読んでいて、固有名詞に定冠詞がつく例をいくつか発見した。その例を自分のノートに記していなかったので、どこでその例を発見したのか、現時点では言えないが、とにかく、これは首をかしげてしまう。フランス語は英語と同じように語順が決まっているので、しかも、冠詞は格で変化することはない。それでも、定冠詞がついているのならば、他の理由があるに違いない。つまり、冠詞が固有名詞についた場合は、言語によって、その理由が異なるに違いない。では、その理由は何かを発見することが第1の課題である。

(2)英語には句動詞(phrasal verb)があって、これは語形成能力が活発で現代でも次から次と新しい句動詞が生まれてきていることは、よく知られた現象である。句動詞の性質を不変化詞と言われる up, out, in, off などの前置詞との性質と結びつけて解こうとする傾向が強いと思う。しかし、自分は不変化詞の役割を単に「他と区別する」ための符号である、と解釈する。「電話する」 call up の意味は何か、それは up の意味を細かく分析しても無駄であろう。要は、call out, call off, call for, call in ではないというだけのことである。out, off, for, in にはそれぞれの意味が異なることを示すだけである。であるので、call in や call for が「電話する」の意味になったとしても、それはありだろうと考える。

ドイツ語の分離動詞は前綴りに独立した意味があり、多くは空間的な意味で使われる。→ bringen hinter (後に持っていく)、しかし非分離動詞となるときは、抽象的な意味になる。→ hinterbringen(密告する)のようである。この図式が英語の「動詞プラス前置詞」と「句動詞」にも適用されると思う。He lived in Japan. これは、*Japan was lived in by him. とはならない、つまりliveとinには繋がりがないのである。しかし、He was called up by her last night.ならば大丈夫だ。つまり、call up は一つの繋がりと考えられるからである。抽象的な語になればなるほど一体感は強まるように思う。もとの基礎的、空間的な繋がりは、個々の語の意味がはっきりしているので、容易に解体されうる、のだろう。この理論を英独の両文法からはっきり示したいと考える。これが私の第2の課題である。

(3)文の情報構造にも関心がある。旧情報は前に来るが、新情報は後に来るという一般原則が見られる。フランス語は英語と比べて、旧情報を担う代名詞の場所が英語よりも前に来る。Je t’aime.  Ils s’aiment. のようである。これは、フランス語の方では、旧情報は前に来るという法則がより徹底的に貫いているのか。y, enのような中性代名詞もその法則が見られる。As-tu repondu a cette lettre? に対して、Oui, j’y ai repondu. のように助動詞の ai の前にさえ来る。英語を主に勉強した者からみると、この位置は奇異に感じてしまう。情報構造はフランス語ではどのようになっているのか調べてみたい。これが私の第3の課題である。

その他にも、いくつか課題があるのだが、こんな問題意識を持って、外国語の本を読んでいきたい。そして、気づいたことをブログに記していきたい、これが現時点での私の気持ちである。