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Meet me at the morgue (Ross Macdonald) を読み終える。やはり筆者の筆致はすばらしい。自分は彼の探偵小説の中毒になりそうである。保釈の審査をする公務員である Howard Cross が思わぬことから誘拐事件に巻き込まれてゆく。そして、謎解きをしながら、真犯人を突き止めてゆく。真犯人は、例の通りに、到底、誰も思いつかなかった人であり、最後の数ページには驚いてしまう。

ただ、動機がイマイチすっきりしない。Fred が小屋を発見されたときに、なぜあわてて逃げ出したのか。銃声があったからなのか。でも、その逃げ出し方を見ると、罪の意識があったからのようにも感じる。また、なぜ弁護士は銃で撃ったのか。このあたりはすっきりしない。

ただ、筆者の人間心理の描写は素晴らしい。これでもか、これどもか、と人の暗部を抉り取る。読んでいると時々辛くなり、本を読み止めてしまう。

Ross Macdonald の小説はロスアンジェルスのあたりが舞台である。できるだけ、この地域、砂漠、大都市、高速道路のイメージを掴もうと、自然描写や情景描写の部分をゆっくりと味わうようにして読んだ。

今、同時並行でフランス語で Maigret 警視のシリーズを読んでいる。アメリカのハードボイルドは動きが早い。テンポが良すぎる。話がうまく行き過ぎる。行くところ、出会う人ごとに解決へのヒントをくれる。この点は Maigret の話も同じだ。ただ、Maigret は動きがゆっくりとしている。そしてパリでの出来事をを基本的には語ってゆくので、パリの街を想像して読んでゆくのは楽しいことである。自然描写の素晴らしい文があったら、自分は書き写すようにしている。

英語の本だが、かなり早く読めるようになってきた。今回は2日ほどで読めた。できたら、200ページぐらいの探偵小説は1日で読めるようになりたい。