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Ross Macdonald の本、The Blue Hammer (Vintage Crime) を読み始めている。面白い。これも調子よく読んでもう半分ほど読んでしまった。言葉を味わうようにして読んでいる。Ross Macdonald のハードボイルド小説は、テンポがよくて展開に退屈しない。そして、心の闇、人の抱える闇を次第に抉っていくので、興味ふかいが、時には読むことが辛い時もある。

今は並行してフランス語で Maigret シリーズも読んでいるが、どうしても対比してしまう。Maigret は警察という権威を背景にして動く。ストーリーは少しづつ動いていくようだ。時々、風景の描写、パリの雨、秋の風景の描写が美しいので、気に入った部分は自分は書き写したりしている。ところが、Macdonald は動きがアップテンポで、じっくりと光景を味わったりはしていない。止まっていない。また、どこかのレストランに行って、その料理をくわしく説明などはしない。あくまでも、Archer という人物の動きに焦点が定められている。

Ross Macdonald (このスペルは Macdonald であり、MacDonald ではない。どうしてか?これは彼がペンネームとして選んだからだが、なぜ d の部分を大文字ではなくて小文字にしたのか、その理由を知りたいものだ。

さて、Archer は警察という権威に頼らずに、a private detective として動き回っている。免許が必要で警察とある程度の連携が必要だが、アメリカにはこのように独立独歩の人間がたくさんいる。そんな一匹狼の活躍を知ることができるのもアメリカのミステリーを読む楽しみである。


Archer と仲良くなった女ジャーナリストが、I want to have my story ready for the noon edition. (p.75) と飛べている。注目したいのは、アメリカの西部の新聞には、お昼の版があることだ。夕刊ならば、evening edition なのであるから、noon edition は午後の版ということになろう。

フランスでも同じ事情のようだ。Maigret のシリーズで、妻が昼刊の新聞( le journal de midi)を読むという箇所がある。それは別のブログでも書いた。新聞の発売される時間帯についてもう少し調べてみたいものだ。