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Ross MacDonald の The Doomsters (Vintage Crime, 2007)を読んだ。私立探偵の Archer のところにある青年が訪ねてくる。冒頭のそんな話からストーリーは展開していく。自分は読んでいくうちに次から次と内容に引き込まれていった。目を痛めないように、毎日1時間ほど読もうと計画をしていたが、半分ぐらい読んだあたりから、やめられなくなり、昨日と今日の二日間で後半を読み上げた。面白い。また、結末が意外であり、驚いた。

昔、MacDonald の Chill を読んだ時も、その意外な結末に舌を巻いたものだが、今回も The Doomsters には、驚かさせれた。ストーリーの展開に関心が行くが、人々の心の中に潜む闇、夫婦や親子の間に横たわる絆と断絶を上手に暴き出しているのはさすがだと思う。

ネットでレビューを見てみたら、彼の The Wycherley Woman, The Instant Enemy などが彼らしい良さが出ており、この The Doomsters はまだまだ古いハードボイルド小説を引きずっているという話だ。どういうことを言っているのかな、と首をかしげる。この二つともまだ読んでいないが、是非ともいつかは読んでみたい本である。

今、自分は並行してフランス語でメグレシリーズを読んでいる。こちらはあんまり深く人間心理を掘り下げるという手法はとっていない。でも、それだけ気楽に読めるというメリットはある。途中でいつでもストップできるような感じで、ストーリーとある程度の距離を置ける。しかし、この The Doomsters は読んでいるうちに、苦しくなって、しばしば本を机に置いて、自分の心を落ち着かせる必要があった。つまり、読むのがとても辛くなる時があるのだ。

人間心理を知るという意味では、The Doomsters の方が役に立つが、読んで楽しい、気楽に読めるのは、Maigret シリーズである。