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今日読んだことで面白かったことは、フランスでは昼刊の新聞があることだ。p.48 に二つの表現がある。… on commencera à vendre le journal de midi.  それから、Elle achète à un camelot le journal de midi. とある。帰宅しない夫を心配した妻のGermaine が昼刊の新聞を買ったのだ。

この点をプチ・ロワイヤル仏和辞典のjournal の項目では、journal du matin, journal du soir と例があり、フランスの新聞は朝夕のどちらか1回発行とある。すると、この小説が書かれた1945年頃は、昼に発行される新聞があったのだと推測したい。

その新聞に夫の犯罪の関与を示すような記事があった。妻の Germaine は頭がくらくらする。新聞の文字もくらくらする。Les mots ,les lettres dansaient. (p.50) である。この場合の訳は、「文字が踊った」とするといい意味のような感じがするので、「文字がぐらぐら動いて見えた」という訳が望ましいのではと思う。

さて、ある泥棒が Petite Comtesse の家に不在だと思って忍び込む。その時に、ルノワールの絵 (Baigneuse) の下に置いてあった壺を落としてしまった。と新聞に書いてあった。

Baigneuse par Renoir

ルノワールの Baigneuse だが、どれに当たるかネットで調べてみた。ルノワールはたくさんの裸婦像、水浴びをする女性を描いている。どれがそれに該当するか分からない。見当をつけて、上の絵ではないかと思う。原文は、… sous un adorable Renoir, une <Baigneuse> rose … (p.51) とある。絵画のタイトルは Baigneuse rose なのか。「ピンク色をした水浴びの女」となるが、不定冠詞 une が付いているので、たくさんある同系列の作品の中の一つという意味なのだろう。

しかし、不定冠詞 une がタイトルの中に含まれていると解釈するのならば、別の解釈になる。でもその場合は、引用する部分が une Baigneuse rose 全体に及んでいるはずだ。などと迷ってしまう。これも謎だ。でもわからないところは、そこで立ち止まっていないで次から次と読んでいくことがいいのだろうと思う。