第6話 Von der Nachtigall und der Blindschleiche. を読む。Nachtigall (ナイチンゲール)とBlindschleiche(辞書で引くと、アシなしトカゲ・無脚蜥蜴とる)の物語である。それぞれが目を一つだけ持っていた。ある時に、Nachatigall が結婚式に出るので、両目が必要となり、Blindschleiche から目を借りる。両目があることに気に入ったNachtigallは借りた一つの目を返さない。
それで、その後はBlindscheiche は復讐として、木の下に住みNachitigall の巣まで登ってきて卵に孔をあけたりした。これは因縁話である。民話にはこのような因縁話があるが、グリム童話集には少なかった。この話は初版だけに登場して、二版以降は消える。
このBlindschleiche であるが、「目の見えない」+「脚なし蜥蜴」から作られた語であるので、だいたい意味の検討はつく。(なお、蛇はSchlangeだが、形からするとBlindschleiche は Schlangeでもいいと思うが)しかし、目が見えないということではない。地下に潜んでいることが多いので、目が見えないと誤解されたようだ。英語では、white worm という。slug や worm を餌にしている。画像はWikepediaからとってきた。
次の話は Von dem gestohlen Heller である。Es saß ein Vater mit seiner Frau und seinen Kindern, … で始まる。余談だが、この出だしは gender 的に問題があると言われるかもしれない。一家の中心がVater であるからだ。これを Es saß eine Frau mit seinem Mann und seinen Kindern… とする書き方も可能である。
12時になると、Thür (戸の意味、古い語形)が開いて、子供が入ってくる。und es kam ein schneeweiß gekleidetes blasses Kindlein herein, (no.365) たまたま訪ねてきた友人にはその子供の姿が見えるが、家人には見えない。よくよく話を聞くと4週間前に亡くなった子供のようだ。子供は貧しい人に銅貨二枚を与える予定だったのだが、一枚はパンを買ってしまった。そのことを苦にして成仏できないのだ。家人が銅貨一枚を貧しい人に渡すと、Sie gaben darouf das Geld einem Armen, und nachher ist das Kindlein nicht wieder gesehen worden (no. 376) とあるように子供の姿が消えた。
ラフカディオハーンの『怪談』に似たような話があったことを思い出した。亡くなった女性が始末を忘れた恋文のことが心配で幽霊が姿をあらわす。タンスの下にあった恋文を見つけて、燃やすとその幽霊は姿を消したという話だ。