2015-05-04
グリム童話集の Der Teufel mit den drei goldenen Haaren を初版と最終版で比較する。かなり、あらすじが異なっていて、最終版の方が物語として面白い。
(1)初版では王宮の前で仕事をしていた Holzhacker に王女が恋をして結婚したがる、そこで王が悪魔の毛を三本持ってくるという難題を課して、それをこなしたら二人を結婚させるという。最終版では Glückshaut を持って子供が生まれてきたので、14歳になったら王女と結婚すると予言された。たまたま村に来ていた王が話を聞いて、その子をもらい受け川に投げ捨てたが、粉屋に拾われ、さらにそのことに気づいた王が、その青年を城に使いにやり殺そうとするが、途中で盗賊が手紙を差し替えて、彼は王女と結婚してしまう。それに驚いた王が、悪魔の毛を三本持ってくるという課題を与える。
最終版がドラマが入っていて、面白くしてある。特に、彼が Glückshaut を持って生まれてきたことが話の中に盛り込んでいる。その手法は効果的だ。初版は話の流れは簡単すぎる。
(2)主人公は悪魔の洞窟に行くまでに、初版では4つの箇所にて質問を受ける。王女の病気の理由、泉の水が枯れたわけ、イチジクが実らない理由、舟渡しが仕事を転職する方法である。最終版では、ワインを産出していた泉の枯れたわけ、金のリンゴがならなくなった理由、舟渡しが転職する方法である。
(3)悪魔の洞窟に行く。初版では妻(Frau)がいるが、最終版では祖母(Ellmutter)がいる。初版では、主人公が机の下に隠れる。最終版では、主人公をアリに変える。初版ではFrauが毛を抜くたびに、悪魔が起きるが質問には答える。4回目は妻は悪魔の鼻をつまんで、殴られるが、とにかく答えを教えてもらう。
(4)主人公は初版では Holzhacker であり、最終版ではGlückskind という名称で統一されている。
(5)戻る途中で主人公はそれぞれに答えを教える。そのことで、褒美に、初版では、連隊、騎兵連隊、黄金を積んだ4台の馬車をもらう。そして王様は驚くが、それで結婚を許可する。それで一件落着である。最終版では、黄金を積んだ二頭のロバ、ふたたび黄金を積んだ二頭のロバを受け取る。それらをお城に持ってきたので王様は結婚を許可する。最終版では、面白いことに、王様が欲に駆られて、黄金を求めて、舟渡しがいる川にきて竿を渡され、永遠に舟渡しになるという話が付け加わっている。最終版では、王様が主人公に残虐なことをしたが、その仕返しに舟渡しになるというオチでまとまりがある。
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この話は面白い。とりわけ最終版では完成された話になっている。自分のお気に入りの話である。