2015-03-13

このところ、仕事が非常に忙しい。精神の上を感じる。なんだか、オデッセイアを読みたくなり、昔読んだことのある英訳本 The Return of King Odeysseus (Kenkyusha, 1966) by Barbara Leonie Picard を取り出してしばらく読んでみた。Introduction の部分を読んでから、いろいろと考えてみた。

ネットで調べたことを援用しながらまとめてみる。トロイ戦争は紀元前の1200年頃にあったようだ。そして、ホメロスのこの叙事詩が紀元前の700年頃に出来上がったようだ。トロイ戦争に関する伝承が口伝いに伝わり、それが書きとめられたのがホメロスの時のようである。その間に500年という期間が経っており、内容の変形はかなりあったと思われるが、それは長い年月の間に人々によって改変されて、最終的には「集団の知恵」「人々の感性」を十分に表現したものとなったと思われる。

As the stories are passed down orally from generation to generation, they are improved upon, and eventually they are written down. The stories are often in verse. (vii)

一人の天才の生み出した作品(往々に書かれたもの)と大勢の凡人が代々伝えてきた作品(おうおうに話し言葉である)では、自分は後者により価値があると思う。後者には民族の叡智が知らず知らずに積み重なってきたからである。自分はそのことをアンデルセン童話集とグリム童話集と比較でも感じるのである。グリム童話集にはナンセンスな物語も多いが、代々の世の人が捨てられなかったという点は、何か我々が気づかない魅力があったからだと思う。

とまれ、5,6ページほど読んでみる。the country of the Lotus-eaters の場面に来る (p.2) ここは、すべてを忘れてしまう Lotus を食べる人々の国である。楽しそうである。人間が無駄な競争をやめて、このように生活すればと思う。もう科学技術の進歩のおかげで十分な生産力があると思う。basic income 制度でも導入して、人間は全員がのんびりと最低限の労働だけおこない、あとは静かに生きていけばいいと思うのだが。

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昔自分が読んだ本だが、ウォルター・J・オング著『声の文化と文字の文化』は非常にすぐれた本であった。そのホメロスの説明を読んで目から鱗という経験をしたことがある。今、この本を探しているが見当たらない。多分、実家に持っていったようだ。