2015-03-12

世の中にはたくさんの物語があるが、それらの構造を一言で言えば、「通過儀式」が組み込まれていると考えられる。その点に絞ると、物語の共通点が見えてくる。「通過儀式」を「死と再生」と言い直すと、よりはっきりすると思う。(ア)主人公が順調に成長する、(イ)そして大きな苦難に直面する・あるいは死に直面する、(ウ)その苦難に打ち勝つ・死から復活をする、これら3つのステージが一緒になっている。

福音書、たとえば、ルカの福音書は、(ア)イエスが世に出てきて福音を説く、(イ)捕われて十字架にかけられる、(ウ)復活をする、の3つのステージがある。赤ずきんちゃんでは(ア)森のおばあちゃんの家へ食べ物を運ぶ、(イ)狼に食べられる、(ウ)猟師に救われて復活をする、となる。ヘンデルとグレーテルは、(ア)異界である森の中へ行く、(イ)ヘンデルは魔女に捕まって食べられそうになる、(ウ)グレーテルの機転により、ヘンデルは救われる・復活する。これらは、一回だけでなくて、何回も繰り返し・チャレンジする、おとぎ話では3回目のチャレンジでうまくいくことが多い。

3人兄弟がいる。(ア)長兄が森へ行く、(イ)森で魔女に会って捕まる、次に次兄が(ア)森へ行く(イ)森で魔女にあって捕まる、最後に(ア)末弟が森へ行く(イ)魔女に出会う。今度は機知を用いて魔女に打ち勝つ、(ウ)長兄、次兄も含めて復活・解放される、という構造である。

これは主人公の視点からだけでなくて、悪役にも当てはまる。例えば、白雪姫の継母は(ア)世界で一番美しいという地位にある、(イ)白雪姫にその地位を奪われたことを知り、その地位の回復のために、白雪姫の殺害を企てる、数回はその企てはうまくいかない。一回目は「くし」を売り、二回目は「ひも」を売り、三回目は「りんご」を売る。(ウ)毒リンゴで白雪姫は倒れて、継母は世界一美しいという地位へと回復・復活する。

いくつもの通過儀式が組み合わさり物語が複雑化していくが、要はこの基本パターンの繰り返しである。それならば、各要素に分解して、そこに変数をいれればいいのではないか。

(1)主人公を決める(男、女、子供、大人、老人、名前)
(2)試練の形を決める(宝探し、竜退治、悪役を倒す、知恵を見つける、謎を解く)
(3)復活の形を決める(成長する、元の地位を確保する、財産を得る、知恵がつく、病気が治る、姫と結婚する、人間へと変身する)

(1)(2)(3)とも変数は300ぐらいと考えて、それらを掛け合わせた数の物語ができる。さらに、副次的な要素して、時間、季節、場所、繰り返しの数、なども決めていくことができる。

たとえば、主人公は男、試練の形は宝探し、復活の形は財産を得て、誘拐されていた姫を救い結婚する、と大枠を決める。(コンピュータゲームなどもだいたいは同じ構成である。)副次的な要素として、時間は16世紀、春の頃、場所は京都の町、繰り返しは3回と決めておく。これだけの要素が決まれば、あとは、その大枠に従って書いていくだけだと思う。

その物語を時間を見つけて書いてみたい。今日は忙しくて無理だが。