2015-02-05

ライクロフトを読み続ける。「過去」というのは In days gone by という言い方をする。これは古風な言い方である。今は In the past という言い方になるだろう。主人公は、昔は、忙しい日々で食事を慌ただしくてかき込んで、ゆっくり味わう時間もないと言っている。このあたり、現在の私と同じである。In days gone by, I could but gulp down the refreshment, hurried, often harassed, by the thought of the work I had before me; (no.1881)

この手記はだいたい、なんでも書いてある。食べもの、お酒、住居、政治、植物などである。でも女性の話は何も書いてない。主人公も若い頃は恋をしただろうし、その頃の燃えるような情熱の思い出をこの手記に書いてもよさそうだが、何も書いてない。意識して避けているのだろうな。恋愛話を書かないという事実はかえって「大きく目立つ」ことである。手記に書くには辛すぎる経験があったのかもしれない。

この話に出てくる女性は、メイドだけである。メイドを賞賛している。でも彼女の年齢や肉体的特徴は語らない。思慮深い女性であるということが分かるだけである。(no.1990) 推測すると、主人公はこのメイドのような女性が好きであるのか、空気のような存在、主人公の邪魔とならない存在、そして、主人公の心を読んで何でもしてくれる存在、が主人公のお気に入りの女性のようだ。普通の奥さんでは難しいだろうな。

語法的なこと、whilst が使われいる。今まで読んだ限りでは while はほとんど使われていない。no. 1931 では、イギリスの食文化について語っている。 珍しい。主人公もイギリスの料理は評判が悪いことを認めている。no. 1955 では、主人公は the literature of vegetarianism に関心を持ち、料理に興味を持ったことを書いてある。

no. 2066 では、オデッセイを絶賛している。彼が褒め称えているホーマーの素晴らしい文章とは、オリーブの木からベッドの骨組みを作る場面のようだ。彼の手による英訳が示されていたが、特に魅力的な文章とは思えない。ともあれ、主人公のように、古典ギリシア語を理解できれば、ホーマーを味わうことができる。これは羨ましいことだ。