2015-01-27

The Private Papers of Henry Ryecroft (Gissing, Kindle 版)を読み始める。彼の生まれた時代などをWikipedia で調べる。彼は1857年から1903年まで生きた。すると、46年間の人生だったのようだ。比較的若くして死んだ。この本の序文には、架空の作家である Henry Ryecroft は50代の半ばで死んだと書いてあるので、それくらいが常識的な寿命だったようだ。また、いろいろな小説を書いたが、日本にはそれらはあまり知られなくて、この手記が一番人気の作品のようである。

読み始めると、心にしみる。ある程度の豊かさに裏付けされた清貧の生活を夢見る知識人が喜びそうなことがたくさん書いてある。イギリスの美しい風景、静かな書斎、たくさんの書籍に囲まれた生活、など現代人には望み得ないものが描かれている。

さて、文章だが、to-day, to-morrow とあって、古調であって嬉しくなってしまう。It matters not how long I wander. (no. 119) などは、現代では It does not matter how long I wander. となるだろう。現代では否定の not は前に出てくることが多い。

ラテン語の語句がよく出てくるが残念ながら自分にはまったく分からない。ラテン文学を知っている人にとっては、常識的な文なのだろうが。まあ、だからと言って、自分はラテン語を勉強しようという気には全くならない。これがギリシア語ならば、ちょっと勉強してみたいという気になるのだが。オデッセイアや悲劇などをギリシア語で、また新約聖書をコイネーで読むことができればと願うこともある。ギリシア語には何か神秘的な香りがするが、それが魅力の一部であろう。