2015-01-15

第176話は Die Lebenszeit である。(これはどこかで聞いた話である)神様が生き物を創造した。そしてそれぞれの寿命を決めることになった。ロバに30年を与えようと言ったら、ロバは長すぎると言う。朝から晩まで重い荷物を運び辛いので短くしてくれと神様にお願いする。それで神様は18年間を減らした。次に犬に30年の寿命を与えようとしたら、長すぎるというので12年間を減らす。次に猿が来たので30年を与えようとしたら、猿が言うには、自分は人間を無理も笑わせたりで辛いので短くしてくれというので、同じく10年間ほど短くした。

そこに人間が来て、神様が30年は如何かというともっと長くしてくれという。神様は動物たちが辞退した寿命を付け加えることにした。それで人間は最初の30年は元気で人間らしい、次の18年はロバのように重い責任が加わり、次の12年は犬のように隅っこに寝転がって歯も抜けて噛む事も出来ない。次の10年間は猿のように頭が鈍くなり子供達の嘲笑の対象となる。合計70年の寿命を人間が持つようになったというお話である。この当時のドイツでは人間の寿命は70歳と思われていたこと、通常の健康状態ならば、すでに70歳までは生きれたことを示している。

第177話は Die Boten des Todes である。ある巨人が歩いていたら、一人の男が立ちふさぐ。巨人は怒って、お前なんか指でひねりつぶす、と言う。男は自分は死神だという。Ich bin der Tod. (no.9562) 巨人はかまわずその死神と戦い、最終的には死神は半殺しにあって倒れてしまう。死神が言うには「自分が倒れたらどうしよう、この世から誰も死ななくなったら、人で溢れかえり足の踏み場もなくなるだろう」と心配する。(死神が戦いに負けるというのは面白い話である)

そこへ元気な若者が来て、死神を助け起こし水を与えたりして元気にさせる。死神は感謝して、自分が若者を呼びに来るときは、前もって使者を送って予告してから来ると言う。さて、月日は経って元気な若者(=男)も年を取る。ある時に死神が男の後ろに立っていて、folge mir, die Stunde deines Abschieds von der Welt ist gekommen. と言う。男は使者はまだ来ていないと怒る。すると死神は、お前は、熱は出なかったか、フラフラしなかったか、四肢が痛まなかったか、あるいは自分の兄弟である眠り der Schlaf が使者であって、その時に死神である自分を思い出さなかったか、と諭すと、その男は諦めて死神に付いて行った。
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今日は、巡り合わせで、たまたま、グリムの死に関する物語を読んでいた。すると、病院から母の容態が悪いという知らせが入り、病院に着いたら母はすでに亡くなっていた。医者の診断は2015年1月15日午後8時死亡であった。このブログは個人的なことは書かない方針だが、死に関しては、個人的なことと重なり何だか沈鬱な気持ちになった。