2015-01-06

第144話 Das Esellein を読む。昔王と王妃が住んでいた。二人には子供がいなかったが、ようやく授かった子供はEselein (ロバ)であった。そのロバはリュートを上手に弾くことを覚えた。ある日泉に映った自分の姿を見て悲しくなり、本当の自分の姿を取り戻すために世界を旅することにした。Darüber ward es so betrübt, daß es in die weite Welt ging und nur einen treuen Gesellen mitnahm. (no. 8523)

やがてある国に来て、そこの王様に気に入られ、王女と結婚することになる。そして、王女との初夜にロバはロバの皮を脱ぎ捨てて素敵な若者としての姿を現す。(なぜロバが突然皮を脱いで人間の若者になれるのかその理由が書かれていない。途中でそれの理由を書いた部分があったのだろうが、グリム兄弟が収集した時には、すでにその部分はなくなっていたのだろうか)

とにかく、ロバが皮を脱ぎ捨てて人間に変身することを知った王様はロバの皮を焼きすててしまう。そのために、彼はロバの姿に戻れなくなり、若者の姿のままになり、その王国を継いでめでたしめでたしというお話である。抜けている部分を補えば一応のストーリになる。

次の145話は短い話である。Der undankbare Sohn である。父親に鶏を食べさせたくなかった男に鶏がガマとなって顔にくっつく物語である。

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ロバの王子の物語はどうやら類似の物語があり、それらは昔話のタイプ分けで分類できるようだ。 Aarne-Thompson type 430 と分類できるようだ。Wikipediaでは、次のように述べている。

「アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス(Aarne-Thompson type index , AT分類)とは、世界各地に伝わる昔話をその類型ごとに収集・分類したもの。 アンティ・アールネにより編纂され、スティス・トンプソンにより増補・改訂されたことから二人の名を取ってこう呼ばれている。 昔話の研究においては分類体系の標準として世界的に用いられている。類型ごとにAT番号と呼ばれる番号が振り当てられ、索引(インデックス)または目録(カタログ)として参照される。もちろん、一つの話に対し複数のモチーフ類型が当てはまることもある。」

この分類は非常に有名な分類のようだ。世界中の昔話がこの分類で網羅されてしまう。グリムの童話集のすべてのお話が区分けされていくのは素晴らしいことである。