2014-12-14

以前、このブログで白雪姫に関して投稿した。そこでは、グリム童話集の韻について語った。当時の童話集は、子供達に対して親たちが読み聞かせたのであろう。それで、目で読むよりも、耳で音を楽しむ要素が強かったことを述べた。

邪悪な王妃が鏡に向かって問いかける言葉と答えは次のようである。

“Spieglein, Spieglein an der Wand,
Wer ist die Schönste im ganzen Land?”

Frau Königin, Ihr seid die Schönste im Land.

Wand とLand と韻が踏んである。また、王妃よりも王女が美しいと答える言葉は次のようである。そこでも、hier, ihr と韻が踏んである。

“Frau Königin, Ihr seid die Schönste hier,
Aber Schneewittchen ist tausendmal schöner als Ihr.”

この日本語訳であるが、ネットで以下のような訳を見つけたので、拝借する。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰」
「おきさきさま、世界で一番あなたが美しい」

「おきさきさま、ここではあなたが一番美しい。
しかし、世界で一番美しいのは白雪姫です」

この訳は特に問題はないのだが、韻を踏むことができないか工夫をしてみたい。Spielglein は Spiegel に親しみを示す接尾辞を付けているので、「ちゃん」と訳する。そして、二行目は「ちゃんと」としてみる。それから、城(しろ)と白(しろ)とで何とか韻を踏ませる。

壁にかかっている、鏡ちゃん、鏡ちゃん
この世界で誰が一番美しいか、答えてよ、ちゃんと

王妃さま、あなたが一番美しい、この城では
でも、あなたよりもずーっと美しいのは、雪のような白姫では

かなり苦しいところだが、こんな風に訳してみたらと思う。むかし、万足卓のハイネの訳詞集を読んだとき、すべて脚韻をふって訳してあったので驚いたことがあった。自分も万足卓の真似を少ししてみた。