2014-09-24

Monsieur Lecoq を読んでいる。Gévrol の部下の一人が捜査を続けたいと述べる。Gévrol が理由を聞くと、部下は Comment expliquez-vous le flair du chien de chasse? と答える。Gérol は部下の独自の捜査を許すのだが、かなりの信頼をその部下に寄せているようだ。その部下は誰なのかと思うと、次の章に移る。

第2章になってその部下の名前が明かされ、それは Lecoq であった。はじめて主人公が登場した。私が抱いていたイメージとは異なり、かなりの若輩のようだ。C’était un garçon de vingt-cinq à vingt-six ans, (p.231)とある。(『黄色い部屋の謎』の主人公がかなりの若輩であったことを思い出させる)そして、彼の生い立ちが詳しく述べられる。Lecoq avait reçu une bonne et solide éducation. (p.235) と十分な教育を受けてきている。しかし、両親が亡くなり、Désormais il était seul au monde, sans ressources…, (p.239) となる。その後に色々な経緯があって警視庁に働くようになる。

このように主人公の生い立ちを長々と記述するのはミステリーとしては例外的であろう。普通はすぐさま謎解きが読者に提示されて、その謎解きへと誘われる。探偵小説がまだ独自の分野として確立していない時代、一般の小説と同じような描き方がされている。また、主人公の経歴は筆者である Gaboriau の経歴とも重なる部分があるのであろう。