2014-04-19

Taipeiへ2泊3日の出張をする。ある学会に参加してその基調講演を聴いたので、その感想を述べてみる。William S-Y. Young 博士の Language and Music: Twin Products of Human Cognitionという講演であった。(1)Tone-language speaker と Non tone language speaker では音楽に対する接し方が異なる (2)languageよりもmusicの方がより根本的ではないか (3) 幼児では同じ調の中の間違いには気づきにくいが、異なる調の音が入るとすぐに気づく(4)Steven Pinkerの方は重要だから読め、というような話しに興味を持った。

自分は言語の音声的な側面にも関心があるが、それは音楽とも深いつながりがあると聞くとなるほどかと思ってしまう。自分はPinker の The Language Instinct (Penguin, 1994年版)を持っているが、文字が小さいので、読むことはないだろうと思っていたが、文字の大きな版を購入して読んでみるのもいいかなと思った。

ところで、Taipeiへ行く飛行機の中で、ホテルでも、Hauff の童話集を相変わらず読んでいるが、あまり面白くない。特に、Der Affe las Mensch はつまらない。何が言いたいのか、奇妙な老人の甥(Neffe)が猿(Affe)であるということなのだろうが、いまいちぴんとこない。また、所々に文学論が散りばめられていて、MarchenとErzahlung がどのように違うかが論じられている。これらは少々は面白い点もあるが、しかし肝心のお話がつまらない。

no. 426に次のような文がある。kusste ihm die Fusse und versprach, ihm tre zudienen. である。公爵の足下に接吻をした、という内容だが、なぜseine Fusseでは不自然なのか。英語でも I hit him on the head. とあり、his headとならない。ウイズダムの辞書では、「his headでは、身体の部位のみに注目するのに対して、人としてのhimに注目したあとに、体の部位に注目する言い方」とある。つまり、「公爵に接吻をした、その場所は足である」という意識の流れであろうか。

no.887に warf sie dem Franzosen and den Kopf und setzte nun auf allen Vieren im Zimmer umher. とある。英語の四つん這いは、on all foursとあるが、これは同じ用法のようだ。英独のイディオムには共通のものが多いようだ。