2015-03-02
ようやく、La Peste を読み終える。
Au début de la nuit, les talons des passants avaient sonné clair dans la nuit froide. (no.4559) こんな何気ない情景描写が好きである。なお、日本語ではかかとの音が響くとは形容しない。その場合は単に靴音とする。このあたりの違いは面白い。
Voilà pourquoi, sans doute, le docteur Rieux, au matin, reçut avec calme la nouvelle de la mort de sa femme.(no.4596) 医師の妻も亡くなったようだ。多くの人が亡くなっていく。しかし描写は淡々としている。
no. 4611あたりから、町の隔離が終了したことが書かれている。私自身も読んでいてホッとする。自分もいつの間にかペストのはびこる町に住み着いてしまったようだ。誰かが隠していた犬が現れる。野犬狩りで犬は全部処分されたのだが、愛犬家の中には犬を隠していた人がいたようだ。今は安心して犬を表に出せる。2発の銃声がする、これは何か。
Cette chronique touche à sa fin. Il est temps que le docteur Bernard Rieux avoue qu’il en est l’auteur. (no. 4726) Rieux医師がこの物語のナレーターであったことが明かされる。それは客観的な立場からこの事象を記したいということであったようだ。でも、このことはこの小説の書き方についての評価ともつながる。
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この小説であるが、あまり面白くはなかった。ペストという疫病の発生を淡々として客観的に記したという点を評価すべきであろうか。何か、Rieux医師、そしてこれはCamus (異邦人のムルソーとも共通するが)の立場でもあるが、人生を不条理であるとするだけで、そこに積極的には参加しないで、あくまでも醒めた意識でこの事件を見ている。よって、人々の激しい感情の起伏、涙や感動のドラマを期待していた自分としては肩すかしを食らった気がする。ただ、このような書き方を高く評価する人もいるだろうとは思うが。