2015-02-24

La Peste を読んでいる。だいたい7割ほど読んだ。疫病の流行っているオランの街だが、市民の娯楽のために、オペラ Orphée et Eurydice が上演される。このオペラは Wikipedia によれば、「クリストフ・ヴィリバルト・グルックが作曲した3幕からなるオペラ。グルックのオペラの中で最も有名な作品である。」と書いてある。なんでも「聖霊の踊り」というのがその中で有名な曲のようだ。(さっそくYouTube で聞いてみる。親しみやすい曲である)ところで、ペストが流行っている中で、人が密集するようなオペラの上演が可能なのか。

この物語は、地の部分は作者の客観的な語りばかりでやや退屈だが、登場人物たちの会話部分は面白い。それは非常事態の中で発せられた人々のリアルな言葉であるからであろう。『異邦人』ではムルソーという主人公の語りが中心なので面白い。読み手も容易に主人公に同化できる。しかし、『ペスト』では、語り手の客観的な語りが中心なのでイマイチ魅力に欠けるようだ。

ところで、Rambert はオランの街から逃げないと決意する。(no. 3308) そして、その理由を以下のように述べる。 J’ai toujours pensé que j’étais étranger à cette ville et que je n’avais rien à faire avec vous. Mais maintenant que j’ai vu ce que j’ai vu, je sais que je suis d’ici, que je le veuille ou non. Cette histoire nous concerne tous. (no.3319) 何か哲学的な理由表明だな。ナチスへの抵抗運動に加わる自分と重ねているのか?

10月になる。春に始まった疫病だが、そろそろ終わりが見えてくるのではないか。疫病も春夏秋冬と四季と流行が重なる点は面白い。作者はそのように意識しているようだ。夏の酷暑の時は、病気も一番猛威を振るう。この点で、小説家の出身地と風土は深い関係があろう。寒い国の小説家ならば、病は秋に始まり冬に猛威をふるうというあらすじを書くのではないか。