2014-06-16

『黄色い部屋の謎』を読み続ける。主人公の若い記者が現地に行く前までに、新聞記事や人々の話から謎解きを始める。現地に行く前からそんなことを話して大丈夫かと心配になる。とにかく、非常にゆっくりとしたスピードで話が進んでいく。まあ、自分としては、この話のスピートは気に入っている。チャンドラーの主人公のマーロウなどは、すぐさま話に巻き込まれて、何人も次から次に殺されていくが、チャンドラーはスピードが早すぎる。

世界的に有名な教授と令嬢が森の奥の研究室で研究をしているというシチュエーションである。現代では、研究のためには、首都の中心にいる必要があるが、この当時は、世俗と切り離された場所での研究が可能だったようだ。このあたりは面白い。のんびりとした時代は自分も好きである。

あと、あんまり自然描写はない。いま、1割ほど読んだところだが、せっかくの森の奥の場面なのに、自然描写がないのはもったいない。『異邦人』の魅力の一つは暑さの描写であった。あるいは、海辺や太陽の描写である。『黄色い部屋の謎』は、現在のところは自然の描写はない。しかし、この地域の歴史の説明がある。このあたりは今後の話の発展に関係するのか?