異文化の森へ

A flying crow always catches something

2015-05-23

学生のPowerPointによる発表を聞いていたら、諺の比較していた。英語で A flying crow always catches something. という諺があるようだ。それに該当する日本の諺は「犬も歩けば棒にあたる」だと言う。ただし、ニュアンスが異なっていて、英語では、飛んでいるカラスはいつも何かを捕まえる、とプラスのニュアンスがある。それに対して、日本では、出歩くと悪いことに遭遇する、とマイナスのニュアンスがあるそうだ。

学生の説明によれば、西洋と日本でのこれらの動物に対する評価が異なるそうだ。日本では、昔は野犬が町中にいて、人々は棒で犬を追っ払ったそうだ。そのために、野犬は棒で叩かれる、つまり犬がうろうろすると叩かれるという意味から転じて、「出歩くな」という教訓になったそうだ。(現代では逆の意味も生じているが)西洋社会では、カラスは高貴な鳥としてイメージはいい。ギリシア神話のアポロとも関連するという。それゆえに、出歩くといいことがある、という意味の諺の主人公になったとの説明であった。なるほど。

それで、自分はその説明を聞いて Poe の詩を思い出した。The Ravenである。以下第1連と第2連を掲載する。

Once upon a midnight dreary, while I pondered, weak and weary,
Over many a quaint and curious volume of forgotten lore—
    While I nodded, nearly napping, suddenly there came a tapping,
As of some one gently rapping, rapping at my chamber door.
“’Tis some visitor,” I muttered, “tapping at my chamber door—
Only this and nothing more.”
    Ah, distinctly I remember it was in the bleak December;
And each separate dying ember wrought its ghost upon the floor.
Eagerly I wished the morrow;—vainly I had sought to borrow
From my books surcease of sorrow—sorrow for the lost Lenore—
For the rare and radiant maiden whom the angels name Lenore—
Nameless here for evermore.
raven はこの詩では明らかに高貴な鳥として語られている。crowはどうか。日本ではゴミをあさる汚い鳥というイメージだが、江戸時代以前ではさほどイメージは悪くなかったように思う。やはり、人々がゴミを外に出して回収するという習慣ができてから、ゴミをあさるカラスというイメージが定着したと思う。
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