異文化の森へ

初版本の第66話 Hurleburlebutz

2014-07-23

初版本の第66話 Hurleburlebutz を読んでみる。初版本は最終版と比べて語彙が古い点があり読みづらい。しかし、何とか読み切ることはできた。森の中で王に迷ってしまった。そこに小さな白髪の男が現れる。ein kleines weißes Männchen(no.3167)とある。(この場合weißes は白髪と訳していいのか、それとも白い肌になるのか、ちょっと迷っている。)そして王に末娘をくれるならば、森から抜け出る道案内をすると言う。王は承諾する。小人は “ in acht Tagen komm ich und hol meine Braut.”(no.3167)と言う。(この in acht Tagen は「一週間後に」と訳すと思われる。アクセス独和辞典では、in には「〜以内」の意味と「〜後」の意味があると述べてある)

その話を聞いた末娘は Sie sprachen aber, er solle gutes Muths seyn, (同ページ)と言う。見慣れない単語が出てくる。solle, seyn は見当はつくが Muths の意味は推測できない。Mythos とかMuse と似ているから「ある種の神的存在者」というような意味ではと推測しておく。

初版本の特徴として、王女を示すのに、Prinzessin (no.3179)という語が現れる。最終版ではKönigstochter となるのだが。

最終的には鳩を殺すことで、鳩は王子となり、その王子と一緒になり めでたしめでたしの話になる。この童話集に見られる特徴の一つは、殺すことでその人に掛けられていた魔法(呪い)を解く、というテーマである。これはある種の「死と再生」であり、通過儀式を表している。つまり、太古からの通過儀式が民話化されていると考えていいのだろうか。

この話は最終版には収録されていない。その理由は分からないが、おそらく似たような話が多いので、省かれたと考えていいだろう。あるいは、話自体は一貫していて面白いが、最後に魔法を解くために殺すというストーリが受け入れられなかった、のかもしれない。 最後にYouTubeによる朗読を掲示しておく。

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