異文化の森へ

166~167

2015-01-13

第166話は Der starke Hans である。この話は二つの異なる話をドッキングしている。前半は谷に住んでいた男と妻と一人の子供だが、妻と子供が森で薪を集めていたら、二人の盗賊に誘拐されてしまう。盗賊たちに仕えることになる。何年かしたら、二人は盗賊の財産をとって、無事に父親のところに戻る。

しばらくしたら、子供(Hans)は一人で冒険の旅に出ることになり、zog fort und kam in einen tiefen und finstern Wald. (no.9225) となる。(ドイツはまさしく森の国だと思う。グリムの頃のドイツはこのような森に覆われていたのだろう。ドイツの文学は森の産物であると考えてもいい)Hansは二人の男 Tannendreher, Felsenklipper と知り合って一緒に暮らす。小人が登場する。小人が崖の中腹の洞穴にいるので、そこに籠を降ろしてもらい、Hansは洞穴に入る。そこで美しい女性を見つけて、彼女を解放して籠に入れて上にあげるようにする。籠がまた降りてきてHansが乗り込む番だが、彼は用心して棒だけを籠に入れる、すると途中で籠が落とされて、Hansが乗り込んでいたら死んでしまうところだった。

洞穴に戻り、小人のはめていた指輪を自分がはめて回すと、Luftgeister (空気の精霊?)が現れて、願いを叶えてくれると言う。彼の助けを借りて洞窟から脱出して、自分を裏切った二人の男に復讐して、その女性を故郷の父母のところに連れて帰り結婚してめでたいめでたしという話である。

注意したいのは西洋人の指輪に対する愛着である。何か魔法的な力があると考えられている。日本の古典には指輪は登場しない。神社仏閣のお守りがその代わりをするか。

第167話は Das Brülle im Himmel である。これまたフラマン語で書いてあるので、英訳を見つけてそれを読む。ある貧乏な男が天国に行く。同時に金持ちの男が天国へ入っていくと音楽が流れて大歓迎された。その貧乏な男が天国の門を入ると、何の音楽もない。それで不公平だと文句を言うと、ペテロは、貧乏な男は毎日のように天国に来るが、金持ちの男が天国に来るのは100年に1回ぐらいなので、歓迎したと答える。(要は、金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴をくぐり抜けるよりも難しい、という聖書のことを示しているのか)

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