2014-12-29
グリム童話集の読みを再開する。現在までのところ、65%ほど読み終わった。多分、あと、2週間ほどで読了となるだろうと予想する。
第116話 Das blaue Licht を読む。兵士が解雇されて、故郷に帰る途中の森で魔女と出会う。魔女の手伝いをするべく、泉の中の青い光を取ろうとするが、魔女を怒らせて、泉の中に落とされてしまう。しかし、不思議なことに、溺れたりもせずに、なぜかその青い光を使ってタバコを吸うことができる。(水の中だろうが)
Der arme Soldat fiel, ohne Schaden zu nehmen, auf den feuchten Boden, und das blaue Licht brannte fort, (no. 7188)
タバコを吸うと、黒い小人 (ein kleines schwarzes Männchen) が現れてなんでも願いを叶えてくれる。Männchen と-chen がつくと中性名詞となり、小人は es で受けられる。兵士は自分をないがしろにした王への復讐のために、王女を誘拐してきて下女として扱う。このあたり、アンデルセン童話集に似た話があったように思う。大きな猫だったか?が王女を盗み出してきて主人公に会わせる話であった。
自分は、「王女」を表す語としてKönigstochter か Prinzessin のどちらが使われてるか興味がある。この物語では、no. 7201 に示されているようにKönigstochter が使われている。「王子」も Prinz か Königssohn を使うか興味がある。どちらかが使われるかで、この物語の成立時期や外来の物語かどうかを判断する貴重な資料となると思う。
ネットでこの両者の関係を調べているうちに、Wenn das die Grimms wüssten!: Neue Märchen zum Grimm-Jahr 2012 (著者: Peter Hellinger)という本を発見した。その中に、Andern als die anderen (Stephan Binder)という物語がある。これは、グリムの第1話「カエルの王」の物語を書き換えている。この物語では、王女の代わりに王子 Prinz が出てきて、王子とカエルの王子(Konigssöhn)との関係になっている。そして、カエルの王子が人間の王子に戻るきっかけとして、Gutenachtkuss をすることである。
このネットでみつけた物語では、冒頭で Prinz を美しい人として町のみんなが心に思い抱いていた dass alle Bürger ihn ins das Herz geschlossen hatten (page 21)とある。おそらく、同性愛の人向けに書き換えられた物語であろう。そして、二人の王子の区別をするために、一方は Prinz として、もう一方を Königssohn と称しているようだ。このような使い分けもあることを発見した
第117話の Das eigensinnige Kind はとても短いお話で特に特徴はない。