異文化の森へ

presbyte

2014-06-22

相変わらず『黄色い部屋の謎』を読んでいる。6割ぐらい読み終えた。これで夜にお酒を飲まなければもっと早く読み終えることができるのだろうに。何回も presbyte (no. 2197)という語が出てくる。これをプレスビテリアン(長老派 presbyterien)と関係する単に宗教的な意味の語だと思っていたが、辞書で調べたら「老眼」という意味とのこと。なるほど、長老と老眼はたしかに「老い」という点で関係する。

若い記者を示すのに、いろいろな表現がされる。たとえば、 la pensee de cet enfant.(no, 2197) では enfant が使われる。探偵小説では、民話の老賢者に該当する年配の男性や女性が登場して謎解きをするが、ちいさな子供が謎解きをすることもある。18歳の記者を小さな子供と言うわけにはいかないが、天才的な頭脳を持った少年として、民話などの「知恵ある童」のイメージを作り出している。

探偵小説を書くにはかなり技巧が必要と思う。犯人は最後に分かるようにする、そして意外な人物でなければならない。主たるテーマが読者にすぐに見抜かれないために、別のテーマを「目くらまし」のために使わなければならない。この場合では、broconnage(密猟)の話であろう。探偵小説と比べたらSFを書くのは簡単かな?

召使いの夫婦 concierge のことを le père et la mère Bernier (no.2228) と呼んでいる。固有名詞に定冠詞を付ける規則が分からない。Bernier の父さんと母さんという訳だろうが、定冠詞は必要なのか?

→後日、この点をフランス語の文法書で調べてみた。『フランス語ハンドブック』(新倉俊一他、白水社)p.8-9にかけて、次のような記述がある。「一般に人名、町の名は限定辞をとらない。ex. Paul, Balzac, Marseille. それ自体ですでに充分限定を受けたと見なされる。これらが限定辞をとるのは、つぎのように特殊な場合である。a) 情愛・関心・軽蔑などのニュアンスを加える (途中、省略) b) 形容詞などによって限定を受ける場合: ex. ce vieux Thibaud, le vieux Paris, le Bruxelles d’autrefois 」とあった。なるほど。英語ではこのように固有名詞に the を付ける用法はないと思う。(2014-06-24補足)

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