異文化の森へ

Le mystère de la chambre jaune

2014-06-16

Le mystère de la chambre jaune (kindle版) Gaston Leroux 著を読み始める。ゆっくりとお話が始まっていく。何やらある教授令嬢が被害者となる話のようだ。このゆったりとした出だしは、Slan のあのテンポの慌ただしさと対照的である。La Chambre Jaune は何やら回顧録として語られ始める(自分としてはこのような語りのやり方が好みかな)。

いくつか気づいた点だが、no.36 に次のような文がある。le jeune Josepha Rouletabille ,âgé de dix-huit ans,.. 固有名詞 Josepha Rouletabille に定冠詞がついている。なぜ固有名詞に定冠詞がつくのか。ドイツ語ならば格を示すのに、定冠詞は必要だが、フランス語では格を示す必要もないだろうに、と疑問がある。

また、当時のフランスでは、18歳でもう新聞社のリポーターになれたようだ。昔は才能のある人は若くても抜擢されたのか、大学へ行く人は極度に少なかったから、今みたいに大学卒業まで待つ必要はなかったからか。

en toilette de nuit (no.49) とはどんな場所か?昼と夜のトイレがあるのか?多分、「寝間着をきたまま」という意味だろう。

(no.55) M. Stangerson, lui souhaitant une bonne nuit. Elle m’avait dit: “Bonsoir, père Jacques!” ここでは、bonne nuit とBonsoir が対比されて使ってある。Stangerson教授が実際に行った言葉は、”Bonsoir.” だが、souhaitant の目的語であるので、下線部のような言い方をしたのか。

(しばらくしてから)

『黄色い部屋の謎』を読み続ける。主人公の若い記者が現地に行く前までに、新聞記事や人々の話から謎解きを始める。現地に行く前からそんなことを話して大丈夫かと心配になる。とにかく、非常にゆっくりとしたスピードで話が進んでいく。まあ、自分としては、この話のスピートは気に入っている。チャンドラーの主人公のマーロウなどは、すぐさま話に巻き込まれて、何人も次から次に殺されていく。チャンドラーはスピードが早すぎる。

世界的に有名な教授と令嬢が森の奥の研究室で研究をしているというシチュエーションである。現代では、研究のためには、首都の中心にいる必要があるが、この当時は、世俗と切り離された場所での研究が可能だったようだ。このあたりは面白い。のんびりとした時代は自分も好きである。

あと、あんまり自然描写はない。いま、1割ほど読んだところだが、せっかくの森の奥の場面なのに、自然描写がないのはもったいない。『異邦人』の魅力の一つは暑さの描写であった。あるいは、海辺や太陽の描写である。『黄色い部屋の謎』は、現在のところは自然の描写はない。しかし、この地域の歴史の説明がある。このあたりは今後の話の発展に関係するのか。

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