異文化の森へ

WEGEN

2014-05-07

Hauffの童話集の Das kalte Herzを読み始める。no.902に次のような文がある。…nicht der Baume wegen, obgleich man nicht uberall solch unermessliche Menge herrlich aufgesholssener Tannen findet, sondern wegen der Leute, die sich von den andern Menschen ringsumher merkw?rdig unterscheiden. この箇所で二回 wegen が出てくる。最初は Baume の後で、二回目は der Leuteの前である。「シュバーベンへ旅行する人は少しでもシュバルツバルトへ立ち寄ってみるべきです」という文の後にこの文がくる。意味としては、「その理由はたくさんの木があるだけでなくて、(もっともこんなにもはてしなく樅の木が堂々としているのは他では見る事はできないですが)、その辺りに住む人間がきわめて特徴あるという理由からでもあります。」ということであろう。

wegenは名詞に対して、前置されるか後置されるかである。この文中に、二回ほど現れるが置かれる場所が異なっている。独和大辞典によれば、普通はwegenは前置であり、後置は文語的であるとのことである。このHauffの童話集が書かれたのは1820年代であるから、その当時は後置が多かったのであろう。

二回目の wegenでは、次にdie Leuteがくる。そして、その次にdie sich… と関係代名詞が続く。流れとして、die Leute, die sich …といくのが自然である。この間にwegenが置かれたりすると、一瞬戸惑う。それゆえに、後ろのwegenの場合は前置が自然である。そこから、私のいい加減な仮説だが、「前置詞が文字通りに前置されることが増えてきたのは、名詞の後に、関係代名詞が続くときには流れが悪くなるからである」、それは「話し言葉の世界では、文が短くて、関係代名詞による節が続く事はまれであった。しかし、書き言葉の増加で、文の構成が複雑になり、文の構成をクリアーにするために、次第にwegenは前置されるようになった」と考えてみる。もちろん、これは根拠のない仮説であり、今後いろいろと調べて仮説の妥当性を検証してみたい。

あと、2格支配か3格支配であるかが大きな問題のようである。ブログ「ドイツ語を勉強しよう!独学でゆるりと」を読んでいたら、書き手が「wegen des Regensと言ったら、ドイツ人の彼から、そんな難しい言い方はしなくていいよ、wegen dem Regenでいい、言われた」との記事があった。現代は、前置詞は2格支配から3格支配へと全面的に移行しつつあるようである。

この人のブログには、weil とwegen の例文がいくつか載っていた。私の印象では、wegenが使われるのは、文の先頭がおおい。それに対してweilが使われるのは、文の後半部に多い、と感じている。それはweilは新情報を示す事が多いが、wegenは旧情報を示す事が多いからと一般化できるのではないか。それは、weilは次に来るのが節であるから情報量は多いが、wegenの次に来るのは句であり情報量は少ないからである。というような仮説をたててみた。

英語では、becauseは新情報を提示するので、文の後ろに置かれる事がおおいそうである。なんでも70%ほどは文の後ろだそうである。その場合も、because +節の場合とbecause of 句の場合では、頻度が異なるのではと思っている。

今日はたくさんの根拠のない仮説(妄想?)を書き並べた。読者の中にはあきれ果てている方もいるかもしれないが、ご容赦をお願いしたい。

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