異文化の森へ

水で割ったワイン

2014-04-29

Maigret et la Grand Perche (Simenon, Le Livre de poche, 2013年刊)を読みおえる。タイトルがGrand Percheとあるので、彼女が話の中心かと思うと歯医者とその母が全面的に出てくる話であった。最初に気にかかったAlfred もほとんど登場しない。タイトルはわざとずらして付けてある。しかし、探偵小説のタイトルなどはだいたいそのようなものだろう。内容だが、まあまあ上手に書けてあるストリーだと思う。

p.137に次のような文がある。Elle vous concede un verre de vin coupe d’eau a chaque repas, n’est-ce pas? 「水で割ったワイン」だが、couperという語を使うので驚く。自分はもう年なので、日本酒やビールは飲まないで、焼酎のお湯割りを飲んでいるで、日本語の「割る」とフランス語のcouperが同じ使い方をするので、びっくりした。英語ならば、water downになろう。それから、付加疑問文は n’est-ce pasを付けるだけ、これもいい。英語みたいに前文の主語や動詞に対応して異なるなどというのは、とても面倒くさい。

また、この話ではやたらとアルコールをみんな飲むので楽しくなってくる。p.95では、Maigret but deux demis avec son chauffeur de taxi qui, lui, se contenta d’un seul blanc-Vichy. とあり、運転手と一緒に酒を飲んでから、また車で出かけるという鷹揚さである。また、容疑者に尋問するのにビールを勧めたりしている。1950年代のフランス、古き良き時代の慣習か?

次はHauffの Marchen-Almanach auf das Jahr 1828を読んでみる。Hauffの童話集の3番目だ。第2集はつまらなかったので、今回はおもしろい事を期待する。

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